2013 Fiscal Year Research-status Report
酸化タングステン表面増強フォトクロミズムを利用したアミノ酸高感度比色センシング
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24750069
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
安達 健太 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (80535245)
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Keywords | フォトクロミズム / ポリオキソメタレート / アミノ酸 / 吸着 / ナノ粒子 / センシング / 分析化学 |
Research Abstract |
本年度(平成25年度)は、アミノ酸化合物表面吸着に伴う酸化タングステン(WO3)表面増強フォトクロミズムに関する基礎的研究を推進した。具体的実施内容と成果は以下の通り。 (1)粒径の揃ったWO3ナノコロイド粒子の合成技術の確立 半導体ナノ粒子は、フォトクロミズムをはじめとして光学特性が粒子径に大きく依存する(量子サイズ効果)。よって、サイズの揃ったWO3ナノコロイド粒子を作成は、アミノ酸を高感度にセンシングするうえで極めて重要である。前年度に確立したWO3ナノコロイド粒子の合成の最適化を進め、球状でモード径20 nm、メディアン径18 nmを有する三酸化タングステン2水和物(WO3・2H2O)ナノコロイド粒子の合成に成功した。 (2)アミノ酸吸着表面増強フォトクロミズムの定量的理解 WO3コロイド粒子表面へのアミノ酸吸着挙動と表面増強フォトクロミズムとの関係を評価すべく、前年度のL-フェニルアラニン(Phe)のほか天然α-アミノ酸20種類を用いた。親水性と疎水性のバランス、及び立体障害の影響でα-アミノ酸の吸着挙動は大きく変化し、表面増強フォトクロミズムの初期着色速度に違いが確認された。この結果は、アミノ酸化合物の定性分析を考慮するうえで極めて重要な知見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アミノ酸高感度センシング能を有する粒径の揃ったWO3ナノコロイド粒子の合成、そして評価技術を確立した。 また、WO3ナノコロイド粒子水溶液のフォトクロミズム強度と粒子表面に吸着したα-アミノ酸量との関係を定量的に評価できたことで、今後WO3ナノコロイド粒子を用いたアミノ酸化合物比色センシング法に関する包括的データ収集が可能となった。 しかし、様々な分光測定を指向したWO3コロイド粒子固定化ゲルの作成については、WO3コロイド粒子が有機ゲル中で凝集することでゲルの透明性が低下し当初想定していた分光測定に適用できないという課題が浮き彫りになっており、現状ペンディング状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度(平成26年度)は、更なるアミノ酸高感度センシング能を指向し、種々形状のWO3コロイド粒子(triangle、cubeなど)の合成に着手する。また、他の無機化合物(TiO2、MoO3)との複合化についても実施する。 種々α-アミノ酸混合サンプルを用いてWO3コロイド粒子表面への種々アミノ酸吸着・会合挙動と表面増強フォトクロミズムとの関連については、紫外可視吸光光度法、及び高速液体クロマトグラフィー法を用いて調査する。 WO3コロイド粒子固定化ゲルの作成については、前年度検討した有機ゲル以外に無機ゲルにも焦点を当て検討材料項目を増やす。加えて様々な添加剤との併用により、分光測定に適用可能な「透明WO3コロイド粒子固定化ゲル」作成を多角的に検討する。なお、タグチメソッド、及びDesign of Experiment (DOE)の導入を行ない実験効率の向上を狙う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画していた「WO3コロイド粒子固定化ゲルの作成」に関して進捗が遅れている。それに伴い実験にて使用する予定であった電気泳動用高圧電源装置(30万円)と関連物品(10万円)の購入には至っていない。 上記「WO3コロイド粒子固定化ゲルの作成」計画を達成すべく、電気泳動用高圧電源装置と関連物品(合計40万円)を購入する。 また、WO3コロイド粒子合成、及びWO3ナノコロイド粒子とα-アミノ酸化合物との相互作用の評価に使用する試薬・ガラス器具として消耗品類(80万円)を計上する。
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Research Products
(9 results)