2013 Fiscal Year Annual Research Report
シクロデキストリン-フェロセン相互作用による均一溶液中での電流増加型遺伝子検出
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24750071
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 しのぶ 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80510677)
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Keywords | 電気化学遺伝子検出 / フェロセン / シクロデキストリン / インターカレータ / ナフタレンジイミド / DNA |
Research Abstract |
DNA固定化電極を利用しない電気化学的遺伝子検出法の開発は、簡易型リアルタイムPCRの開発等において重要である。β-シクロデキストリン(CyD)に包接されたフェロセンは、その包接が解除されると電位のシフトと電流増加を示す。本研究では、この特性を利用して均一溶液中で電流増加型DNA検出を志向した検出システムを構築する。DNA検出の指示薬として、フェロセンとβ-CyDを単一の分子内に有するDNAインターカレータを合成し、これらとDNAとの相互作用解析および均一溶液中におけるDNAの電気化学的検出について検討する。 平成25年度は平成24年度までに合成した化合物2のリンカーをさらに短縮化し、分子内および分子間によるフェロセンとCyD相互作用の解消を目指した化合物3を設計、合成した。化合物3単独でのモルフォフォジー変化としてUV-Visスペクトル、CDスペクトル、電気化学特性について評価した。これらの結果より、化合物3単独ではフェロセンとCyDが包摂錯体を形成していることが示された。これは予想通りであった。また、化合物3とDNAのストップトフロー分光光度計による速度論解析では、2本鎖DNAからの化合物3の解離速度定数は化合物2のそれよりも4倍大きく、DNA上での包接錯体の解消が示唆された。 最後に、化合物3による均一溶液中での電気化学的遺伝子検出を試みた。PCRによってhTERT遺伝子の1部配列の121 bpの領域を増幅した。10 μM 化合物3を含む電解液中で様々な濃度 (0-2.0 nM)のPCR産物存在下で電気化学測定を行った。その結果、0.33 Vと0.44 Vのピークが観察された。これらのピーク電流はPCR産物濃度に応じて電流値が増加した。現在、0.05 nMのPCR産物の検出に成功し、化合物2の検出下限1.0 nMと比較すると、二本鎖DNAの検出能がおよそ20倍向上した。
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Research Products
(10 results)