2013 Fiscal Year Research-status Report
自己発光型無機ナノシート/酵素複合体による高精度バイオイメージング法の創製
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24750072
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
宗 伸明 佐賀大学, 農学部, 准教授 (90336008)
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Keywords | 無機ナノシート / 酵素 / 発光 / バイオ材料 |
Research Abstract |
本年度は、前年度までに作製法を構築した無機ナノシート/酵素複合体に基質を導入し、自己発光特性について検討を行うことを試みた。まず、予備的な検討として、無機ナノシートに挟み込む酵素である西洋ワサビペルオキシダーゼの化学発光反応を行った。その結果、基質であるルミノールと過酸化水素の他、増感剤として知られるp-ヨードフェノールの添加によって、発光反応が増強されることを確認できた。そこで、前年度に液相法にて合成した蛍光性無機ナノシートに西洋ワサビペルオキシダーゼを挟み込み、ルミノールと過酸化水素、p-ヨードフェノールを加えて化学発光反応を行ったところ、ルミノール由来の発光が観測され、蛍光性無機ナノシートに挟み込まれた西洋ワサビペルオキシダーゼの活性が保持されていることが確認できたが、ルミノール由来の発光が蛍光性無機ナノシートに移動する化学発光共鳴エネルギー移動現象は観測されなかった。そこで、ナノシートに導入するユウロピウムの量を変化させた新たな蛍光性無機ナノシートを、液相法により新たに合成することを試みた。その結果、ユウロピウムの含有量が異なる蛍光性無機ナノシートの合成に成功し、ユウロピウム含有量が増大するに従い、蛍光強度が増大することを確認した。しかしながら、これらの新たな蛍光性無機ナノシートを用いても、複合体形成時に化学発光共鳴エネルギー移動現象を引き起こすことは困難であった。また、前年度に固相法で作製した無機ナノシートに、西洋ワサビペルオキシダーゼと量子ドットを導入して、化学発光共鳴エネルギー移動現象を観測することも試みたが、量子ドットの無機ナノシートへの複合化を確認することが困難であった。これらの結果から、化学発光共鳴エネルギー移動現象を引き起こすには、外部からの有機蛍光色素の導入も重要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度では、初年度に合成した無機ナノシートと酵素との複合体に基質を導入し、その自己発光特性を評価することを予定していた。その結果、酵素反応に由来する発光が観測され、複合体中の酵素活性の保持が確認できたが、蛍光性無機ナノシートへの化学発光共鳴エネルギー移動は観測することができなかった。そこで、達成度を「(3)やや遅れている。」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、有機蛍光色素の導入なども考慮して、複合体の自己発光特性について詳細に評価することを予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は予定していたよりも薬品の必要量が少なく、次年度使用額が生じた。 次年度は、生化学試薬等の薬品やプラスチック器具を中心に助成金を使用することを予定している。
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Research Products
(4 results)