2012 Fiscal Year Research-status Report
立体障害に頼らない金属イオンの配位数制御―イオン液体特殊反応場を利用して―
Project/Area Number |
24750074
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鷹尾 康一朗 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教 (00431990)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | イオン液体 / 錯体構造 / 脱水和 |
Research Abstract |
イオン液体1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド (BMITf2N)を調製した。これに、各種金属イオン(Co(II), Mn(II))6水和物のテトラフルオロホウ酸塩を加え、減圧下において加熱することにより溶解した。その結果、揮発した水分と思われる気体の発生が確認され、溶液は各種金属イオン6水和物の色(Co(II): ピンク色, Mn(II):無色)とは全く異なる呈色(Co(II): 赤紫色, Mn(II):褐色)を示した。各溶液の紫外可視吸収スペクトルを測定したところ、Co(II), Mn(II)イオン周囲の配位構造はそれぞれ6配位八面体型, 4配位四面体型であることが示唆された。また、カールフィッシャー水分計(購入備品)を用いて各溶液中の残存水分量を求めたところ、金属イオンに対する水分子のモル比が1以下であり、本研究の主目的の一つである金属イオンの脱水和がこの系で進行することが明らかになった。以上の結果から、Co(II)イオンは溶媒であるBMITf2NのTf2N-が有する酸素原子2個を介したキレート配位を計3個のTf2N-から受けており、[Co(Tf2N)3]-なる錯体を形成していると考えられる。一方、Mn(II)イオンに関しては、Tf2N-から同様のキレート配位を受けてはいるが、配位しているTf2N-の数は2個であり、Mn(Tf2N)2なる錯体を形成しているものと思われる。 更に、2個のアセチルアセトナト配位子(acac-)と2個の水分子を含むCo(II), Mn(II)の錯体、trans-M(acac)2(H2O)2 (M = Co, Mn)についてもBMITf2Nに溶解し、同様の検討を行った。その結果、どちらの金属錯体においても脱水和が進行し、M(acac)2なる四面体型錯体を形成することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
使用するイオン液体の調製は滞りなく成功し、この媒体中における各種金属イオン水和物からの脱水和の進行を期待通り確認しており、平成24年度実施予定であった「金属イオンからの極限的脱溶媒和」はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度も引き続き研究項目の一つである「金属イオンからの極限的脱溶媒和」について、さらに用いるイオン液体並びに金属イオンの種類の幅を拡張する予定である。また、IL中での金属イオンの極限的脱溶媒和状態の解明が相当程度進むと思われる平成25年度後半から、次の研究項目である「研究項目立体障害非依存型配位数制御による新規錯体構造の構築」を開始する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度分に未使用額が生じたが、これは効率的に研究費の使用が出来たためであり、平成25年度も引き続き行う「金属イオンからの極限的脱溶媒和」に関連した実験を更に詳細に行うこととした。 主に、各種化学実験に必要な試薬類・実験器具類といった消耗品の購入に使用する予定である。その他、研究成果の発表並びに情報収集のために学会参加を予定しており、その旅費・参加登録費に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)