2014 Fiscal Year Annual Research Report
立体障害に頼らない金属イオンの配位数制御―イオン液体特殊反応場を利用して―
Project/Area Number |
24750074
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鷹尾 康一朗 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教 (00431990)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | イオン液体 / 錯体構造 / 脱水和 |
Outline of Annual Research Achievements |
イオン液体ノナフルオロブタンスルホン酸1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム([BMI][NfO])と過塩素酸ウラニル(VI)水溶液を混合し、減圧下で加熱することにより水分を留去した。この溶液に対してテトラメチルチオ尿素(TMTU)を順次加えていき、その都度得られた溶液の紫外可視吸収スペクトルを測定した。その結果、ウラニル(VI)イオンに特徴的な420 nm付近の吸光度がTMTU濃度の増加に伴って増加する傾向が見られた。TMTUはこの波長領域には吸収を持たず、またウラニル(VI)イオンの420 nm付近の吸収帯はウラニル(VI)イオン周囲の配位環境に敏感なことが知られているため、TMTUの濃度増加に伴って観測された吸光度変化はウラニル(VI)イオンとTMTUの錯形成を示すものである。一般に、ウラニル(VI)イオンは「硬い酸」、配位原子として硫黄を持つTMTUは「軟らかい塩基」に分類されるため、通常の溶液中ではキレート効果等により錯形成がエネルギー的に有利でない限り、U-S間の配位は極めて起こりにくい。ここで見られたTMTUのウラニル(VI)イオンへの配位は、イオン液体[BMI][NfO]中でのウラニル(VI)イオンの脱水和によって初めて達成されたものであり、新奇金属錯体合成の足掛かりとなると期待される。 また本研究を推進する上で欠かせないイオン液体の合成経験を積むことにより、より効率的なイオン液体合成法の開発も行うことが出来た。氷冷下オルトギ酸トリエチル溶媒中でイオン液体前駆体として例えば臭化1-エチル-3-メチルイミダゾリウムと導入したい陰イオンの共役酸として例えばテトラフルオロホウ酸水溶液をゆっくり混合し、その後揮発成分を減圧下で留去することにより、残留臭化物イオン濃度が数十~数百ppm程度の高純度イオン液体を簡単に得られることを示した。
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Research Products
(2 results)