2013 Fiscal Year Annual Research Report
含ヒ素ピンサー配位子を有する窒素錯体の設計・合成と触媒的窒素固定への応用
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24750083
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田邉 資明 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (20384737)
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Keywords | 窒素固定 / ヒ素 / アルシン / ピンサー型配位子 / ANA型配位子 / モリブデン / アンモニア / 触媒 |
Research Abstract |
肥料、医薬品、工業製品を合成する重要な一次原料であるアンモニアは、現代社会においては高温・高圧という過酷な反応条件を必要とするエネルギー多消費型のプロセスであるHaber-Bosch法を用いて合成されている。一方、自然界では大気中の窒素を常温・常圧という穏和な反応条件下でアンモニアへと変換する窒素固定が営まれており、新しい省エネルギー型窒素固定法の開発の指針となっている。最近研究代表者が所属する研究室では、リンを含むPNP型ピンサー配位子を有するモリブデン窒素錯体を触媒として用いることで、常温・常圧下での窒素ガスからのアンモニア合成に成功している。そこで研究代表者はさらなる触媒活性の向上を目指し、リンよりも安定に3価の酸化状態を保ち、かつリンと類似の配位化学を示すことが知られ、更にリンよりも空間的に広がった配位子骨格を形成することが可能なヒ素に着目した。 まず二つの配位可能なヒ素とピリジン環を取り込んだ、ANA型の含ヒ素ピンサー型配位子を新規に設計・合成した。続いてANA型ピンサー配位子を有する窒素錯体の合成を検討したところ、種々のモリブデンの窒素錯体が得られた。特にモリブデンの架橋型窒素錯体は、対応するPNP型ピンサー錯体とは異なる分子構造を示した。窒素錯体を用いた触媒的アンモニア生成反応を検討したところ、アンモニアの生成量は化学量論量に留まったものの、アルシンが窒素の活性化に有効であることが示された。
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