2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24750085
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡本 和紘 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30552658)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | アルキン / π配位 / ロジウム / パラジウム / ルテニウム |
Research Abstract |
平成24年度では,予備的な研究成果として発見されていた,アルキン含有三座配位子を有するロジウム錯体におけるアルキンの配位能評価について詳細に研究し,Dalton Transactionsに速報として発表した.この結果を基に,アルキン含有ホスフィン配位子のπ共役系拡張を目指して新たな配位子の合成を行った.ジアリールアセチレン部位は薗頭-萩原カップリングを用いて,リン原子を含む部位はオルトリチオ化かもしくは臭素化体からのリ チオ化を用いて導入することにより,ジアリールアセチレン部位の両ベンゼン環上にそれぞれフェニルエチニル基を置換した二座ホスフィン配位子の合成に成功した.また,これまでに見いだされていたロジウム,ルテニウム,白金の錯体に加えて,今回パラジウムを含む錯体の合成およびX線結晶構造解析に成功した.パラジウムの場合,白金の場合と同様のピンサー型錯体が得られるだけでなく,これまでに例が少ない,炭素ーリン結合の切断を伴う錯体が得られることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において目指しているのはアルキン含有配位子の物性評価,ならびにアルキン部位の反応によるピンサー型錯体などの様々な錯体の合成,およびその触媒利用と金属の集積による多機能化である.これらのうち,物性評価についてはその下地となる原料配位子の合成を既に終えていることから,計画通りに進行していると言える.また,既にピンサー型錯体などの合成には成功しており,これについても計画通りである.他の課題については当初より平成25年度において行う予定であり,全体として計画は順調に進行していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
可変的な配位環境を有するアルキン含有多座配位子の開発と,得られる遷移金属錯体の光応答機能,および触媒機能の構築を目的として,中心にアルキンを,両側座に配位性官能基を有する三座配位子を用いて種々の後周期遷移金属錯体を合成し,幾何学構造の変化と光応答性の相関について調べる.また,π共役系を拡張した配位子を持つ錯体を用いて,多様な刺激応答性を持つ発光性材料の創製を目指す.また,ピンサー型錯体を用いる高活性触媒の開発を目指 す.また,アルキン配位子の集積化によって,配位によって高分子主鎖構造が変化するセンシング材料や金属- 金属間相互作用を有する複核錯体の構築を目指す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(25-1) アルキン錯体からの変化を利用した触媒設計 求核剤の付加をきっかけとするピンサー型錯体の簡便な合成法の開発を進める.錯体をより安定なものにするた め,図のように,分子内に求核部位を導入する.これを用いた鈴木-宮浦カップリング等の反応における触媒活 性について研究し,リンカーの長さやリン上の置換基等を変化させることにより高活性触媒の開発を進める. (25-2)アルキン含有配位子の集積化による機能発現 複数の金属がアルキンに配位した複核錯体の合成を目指す.具体的には二つの金属が空間的に近接するよう,ア ルキンもしくはジインに配位できるような配位子を設計し,金属-金属間相互作用を有する複核錯体の合成を目 指す.その際金属とアルキンとの間の電子の授受についても詳しく調べる.また,複数のアルキンが共役系で連 結された配位子を合成し,金属への配位によって共役鎖の高次構造が大きく変化することを利用したセンサーと しての用途について研究する.
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Research Products
(2 results)