2013 Fiscal Year Annual Research Report
アルカン炭素―水素結合活性化に有効な金属カルベン錯体の開発と新規合成反応の創出
Project/Area Number |
24750086
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢田 陽 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70619965)
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Keywords | 有機金属化学 / 炭素ー水素結合 / 不活性結合活性化 |
Research Abstract |
遷移金属錯体を用いた炭素―水素結合の選択的な活性化・官能基化反応の開発は、環境調和に優れた次世代型プロセスとして期待されている。本研究は、アルカン炭素―水素結合の酸化的付加に高活性な金属カルベン錯体の合成と、これを利用した高効率・高選択的な触媒反応の開発を目的とするものである。 今年度は前年度から引き続き、光照射下においてロジウム錯体による炭素―水素結合の活性化を経た触媒反応の開発に取り組んだ。当初の研究計画では、水酸基を配向基と利用したアルコール類の反応を検討予定であったが、アミノ酸類の炭素―水素結合の活性を検討した。アミノ酸類のα-位の炭素―水素結合が、カルボニル化合物の共存下で光照射すると活性化されることが知られているためである。しかしながら、カルボニル化反応や不飽和化合物への付加反応は進行せず、複雑な混合物を与えるのみであった。 当初の研究計画を達成するためには新たな触媒系の開発が必要であると考え、さまざまな触媒系の検討を行った。その過程で、末端アルキンと末端アルケンの脱水素型カップリング反応がパラジウム触媒の存在下で進行することを見出した。また、シクロブタノールとヒドラゾン化合物を光学活性ロジウム触媒の存在下で反応させると、シクロブタノールの炭素―炭素結合にカルベンがエナンチオ選択的に挿入し、光学活性シクロペンタノールが得られることを見出した。 本研究期間全体を通じて、当初の目的どおりの研究成果は必ずしも得られなかったが、その過程において末端アルケンと末端アルキンの新規脱水素型カップリング反応と、シクロブタノールの炭素―炭素結合へのカルベンのエナンチオ選択的挿入反応を見出すことができた。これらの成果は、単純な分子から複雑な分子を簡便に合成できる新手法として極めて重要な結果であり、今後格段の進展が期待されるものである。
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Research Products
(3 results)