2013 Fiscal Year Research-status Report
特異なルイス酸性を鍵とするビニルエーテルと金属エノラートのカップリング反応の開発
Project/Area Number |
24750090
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西本 能弘 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30550115)
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Keywords | 有機合成化学 |
Research Abstract |
汎用原料であり活性の低いビニルエーテルと、金属エノラートとの新様式触媒カップリング反応の確立を目指した。生成物は機能性ポリマー原料および合成試剤として有用な官能性オレフィンとなる。加えて、活性の高いオレフィンでもあるエノラート共存下でもビニルエーテルのオレフィン部位に優先的に作用できる新機能ルイス酸触媒の開発は、遷移金属触媒によるカップリング反応の相補的な手法となり、特に官能基を有したオレフィンの合成に威力を発揮することが期待できる。ビニルエーテル類はハロゲン化ビニルなどに代わる環境調和型ビニル求電子剤の有力な候補であるが、金属エノラートとのカップリング反応は現在でも達成されておらず、チャレンジングな課題である。本提案研究の達成は、有機反応化学の革新的な発展に繋がる。前年度において、モデル反応の確立と基質一般性を明らかにしたため、本年度は反応機構解明を行った。ビニルエーテルを用いた反応において、反応速度実験や中間体の確認などを行い、反応機構の詳細な解明ができた。また、ビニルエーテル以外にもビニルエステルを用いた反応においても反応速度実験を行い、反応機構における律速段階がビニルエーテルとビニルエステルとで異なることが判明した。また、エノール誘導体としては、シリルエノールエーテルやビニルカーバメートも適用可能であった。エノール誘導体の反応性を比較したところ、ビニルエーテルが最もビニル化剤として優れていることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、前年度のモデル反応を用いて、反応機構の詳細な解明が行えた。また、各種エノール誘導体の反応性の差も議論することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
二年間で蓄積した本反応の知見をもとに、不斉反応へと展開する。不斉反応は天然物合成や創薬分野に欠かせない技術となっており、本研究で不斉反応を目指す意義は非常に大きい。反応機構の考察よりビニルエーテルがビニル化剤として最適であることがわかったために、この知見を駆使すれば適切な不斉配位子を迅速に見出すことができると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ビニルエーテルと金属エノラートの新規炭素炭素結合形成反応の触媒探索を実施していたところ、複数金属の組合せが非常に高い触媒活性を示すことを見出した。本研究の推進に大きな発展的可能性を示す結果であるために、この新しい複合触媒系の有効性の検証は本研究課題に重要である。したがって、この新規複合触媒系の検証を実施する必要が生じた。 前年度に見出した複数金属触媒系の有効性の検証を行う。これまでの検討結果の知見を基礎として、金属エノラートや溶媒、反応温度の再検討を見出した複数金属触媒系を用いて行っていく。また、新規複数金属触媒の触媒機能発現の機構解明も各種分光学的手法を用いて行う予定である。未使用額はこれらの検討に当てることとする。
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Research Products
(7 results)