2013 Fiscal Year Research-status Report
抗真菌物質アンフィジノール3の構造/配座/機能解明に向けた合成化学的アプローチ
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24750092
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
海老根 真琴 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70545574)
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Keywords | 天然物化学 / 全合成研究 / 構造確認 / アンフィジノール3 |
Research Abstract |
海洋の渦鞭毛藻が生産するポリエン・ポリオール化合物であり、強力な抗真菌活性を有するアンフィジノール3は、新たな抗真菌剤のシーズとして期待される化合物の一つである。しかしその不斉点の多くが鎖状部分に存在し、天然物を用いた構造決定ののち、部分構造の合成により立体構造の確認が行われてきた経緯がある。全合成による化学構造の確認が喫緊の課題となっているが、未だにその報告はない。また、生物活性発現機構の詳細も明らかになっておらず、合成化学上やるべきことは多い。 申請者らはアンフィジノール3の構造確認を目指し全合成研究を行っており、平成25年度は分子中央部のTHP環部とポリオール部分の連結反応の検討を試みた。立体的に混雑した反応点における連結反応は困難が予想されたが、鈴木―宮浦カップリング反応を用いることで中程度の収率ながら両フラグメントの連結が可能であることを見出だした。本発見により、アンフィジノール3の全合成に必要なフラグメント連結反応の予備実験を完了し、実際のフラグメントが揃い次第全合成に取り掛かることが可能であると確認できた。 加えて、生物活性発現における最小必要構造単位の探索を目的として、全合成の合成中間体から誘導可能なフラグメントから構成される新規短縮類縁体の設計および合成も行った。このものはアンフィジノール3のポリオール部分(鎖状部分および2つのTHP環)を約半分に削減した分子構造となっており、ポリエン部分はアンフィジノール3と全く同じである。分子全体としてはアンフィジノール3と同様に親水性領域と疎水性領域を持つため、ある程度生物活性を保持すると期待した。このものの生物活性評価は来年度に行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
C1-C29部分の合成が未だに完了しない点において、計画よりも遅れが生じている。これは、C1-C20部分とC21-C29部分の連結をJulia-Kocienskiオレフィン化により行うことを計画し、前駆体としてフェニルテトラゾールスルホンを設定していたが、その合成においてスルフィドからスルホンへの酸化が予想以上に困難であったことが一番の原因であると考えている。現在はその問題点をほぼクリアできる目処が立ち、基質を再合成しC1-C29部分の合成を進めているところである。 一方で、THP環部のヨードオレフィンへの誘導とポリオール部分との連結という、鍵反応の一つを検討し、無事活路を見出すことができた点においては、計画通りの進展状況であると言える。ポリエン部分(C53-C67)の合成については、現在新規合成経路を確立しつつあり、今度大量合成を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度からの課題であるC1-C29部分の合成を早々に完結させることを第一の目標として研究を推進する。C1-C20部分とC21-C29部分をJulia-Kocienskiオレフィン化により連結した後、Sharpless不斉ジヒドロキシ化を行いC20,C21位の立体化学を制御する。所望の立体選択性で反応が進行することを確認したのち、THP環部との連結に向けC1-C29部分を末端オレフィンを持つ基質へと変換する。 C1-C29部分の合成が完了し次第、THP環部(C30-C52)とのカップリングを検討する。その後C52位がアルデヒドである化合物へと誘導し、C53-C67部分とのJulia-Kocienski反応によりアンフィジノール3の全ての炭素骨格を構築する。最後にすべての保護基を除去してアンフィジノール3の全合成を行う。合成した化合物は天然物と同条件でNMR測定を行い、天然物との比較からその立体配置の確認を行う。 平行してこれまでに合成した類縁体の再合成・精製を行い、生物活性を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度までは複数の研究費を獲得していたが、次年度は使用可能な研究費が科研費のみになる状況が予想されたため、繰り越し可能である本研究費をできる限り使用せず、当該年度内にのみ使用可能な他研究費から優先的に使用した。 本研究は有機合成試薬を大量に使用するため、それらの購入に大部分を充当する。また次年度は生物活性試験の実施も計画しているため、必要な機器および試薬類の購入にも本研究費を充当する。さらに今年度は、これまでの研究を総括する年度に当たるため、論文投稿および学会発表の機会が増えると予想され、それらに必要な経費を本研究費から充当する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] Studies toward total synthesis of amphidinol 32014
Author(s)
Makoto Ebine, Aya Umda, Takeshi Tsuruda, Yuri Takada, Tohru Oishi
Organizer
The 3rd International Conference on the MEXT Project of Integrated Research on Chemical Synthesis “Synergy of Theory and Molecular Transformation”
Place of Presentation
福岡
Year and Date
20140110-20140111
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