2013 Fiscal Year Annual Research Report
ビフェニル基含有らせん高分子を用いた不斉選択性の反転が可能なキラル固定相の創製
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24750100
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
井改 知幸 金沢大学, 物質化学系, 助教 (90402495)
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Keywords | 光学分割 / 機能性高分子 / ポリアセチレン / 不斉選択性 / 高次構造制御 |
Research Abstract |
エステル基を側鎖に導入したビフェニルイルアセチレンAから、ポリ(ビフェニルイルアセチレン)誘導体poly-Aを合成し、光学活性ゲスト化合物存在下、円二色性(CD)スペクトル測定を行ったところ、ポリマー主鎖の吸収領域に一方向巻きに片寄ったらせん構造に由来する誘起CDが観測された。また、光学活性ゲストを除去した後も、誘起CDの強度はほとんど低下しなかった。一方向巻きらせん構造を記憶したpoly-Aをキラル固定相に用いて、様々なラセミ化合物に対する光学分割能の評価を行った。エステル基を導入したpoly-Aは、軸不斉化合物やキラルな金属錯体に対して優れた不斉識別能を示すことが明らかとなった。さらに、逆の絶対配置の光学活性ゲストを用いて本固定相を処理することで溶出順序(不斉選択性)を切り替えできることも見いだした。 アセチレン系モノマーの重合をリビング的に進行可能なロジウム触媒Rhを用いてAの重合を開始し、モノマーが定量的に消費された後、エチニル基を導入したシリカゲルを加えることで、ポリアセチレン末端を固定化したシリカゲル(poly-A-Si)を調製した。熱重量分析の結果から、シリカゲル表面にpoly-A成分が6%固定化できていることが確認された。Poly-A-Siをスラリー法によりステンレスカラムに充填し、カラム内を(R)-1-phenylethanolで満たし、60度で3時間静置した。その後、カラムをメタノールで置換して光学活性ゲストを除去することでキラル固定相を調製し、光学分割能の評価を行った。従来のコーティング型充填剤と比較して、固定化型カラムの能力は若干低下するものの高い不斉識別能を示すことが分かった。今後、最適な固定化方法を探索する必要があるが、本材料を用いて耐久性の高いキラル固定相を開発できる重要な知見を得ることができた。
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Research Products
(4 results)