2013 Fiscal Year Research-status Report
環状オレフィンモノマーの革新的合成と高耐熱性アクリル樹脂ライブラリーの構築
Project/Area Number |
24750102
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
松岡 真一 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10432288)
|
Keywords | 環状オレフィン / N-ヘテロ環状カルベン / アクリル酸エステル / 環化反応 / 極性転換 |
Research Abstract |
本研究では、環状オレフィンモノマーの新規合成手法の開発を行っている。一般的な汎用高分子材料は耐熱性が低いものが多く、材料として所望の性能を発揮できない時がある。高分子材料の耐熱性向上のためには、高分子の主鎖に環状構造を導入することが有効である。それにより主鎖の分子運動が抑制され、結果的に耐熱性が向上する。しかし、環状オレフィン化合物の系統だった合成法はこれまで確立されていないのが現状である。本研究では、この課題を克服するために、N-ヘテロ環状カルベン(NHC)触媒を用いた極性転換手法に基づく新規環状オレフィンの合成法を提案している。平成24年度では、NHC触媒によるアクリル酸メチルの環化4量化反応を見出した。平成25年度においてはまず、その反応機構を明らかにした。具体的には中間体へのプロトンもしくは重水素化試薬を添加することで、中間体の構造を明らかにした。また、各中間体をESI-MS測定により観察することで、ビニル基の極性転換が関与する反応機構を明らかにした。加えて、反応基質の適用範囲を拡張し、アクリル酸エチル、i-ブチル、2-メトキシエチルの環化4量体の合成に成功した。さらにこの反応を具体例として考えることで、中性な求核剤であるNHCとトリアルキルフォスフィン触媒との相違点を見出すことができている。また、これまでの本研究室での知見と比較することで、代表的NHC触媒である、トリアゾール型とイミダゾール型NHCの求核性に基づく相違点を考察することで、環化反応が進行する理由を明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度においては、環化反応の基質を増やすことに成功したことに加え、機構解明により、環化反応を進行させることができる触媒の種類を見出し、その理由を考察することができたことは、今後の反応開発のために有意義であった。これらの結果は、学会発表だけでなく、Org. Lett. 2013, 15, 5916に掲載させることができている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今回得られた環化反応を進行させるための触媒構造の知見を応用し、他の基質の環化反応を検討する。またこれまでは同一分子間での反応による環化反応であったが、これに加え、今後は二種類の分子間で選択的に反応させることで、多様な環状物質の合成を行うことも検討する。そして、得られた環状物質の重合性と得られた高分子を評価することにより、耐熱性樹脂への展開を図る。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
合成化学で使用する試薬・溶剤、ガラス器具、その他実験器具補助機材類、測定機器使用料が、想定した金額より少なくて済んだため。 今年度においても、計画している合成実験を行うために必要な試薬・溶剤、ガラス器具、その他実験器具補助機材類、測定機器使用料を支払うために、使用する予定である。
|
Research Products
(9 results)