2013 Fiscal Year Annual Research Report
非対称型金属錯体を用いた常圧下ゼロギャップ物質の開発
Project/Area Number |
24750118
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久保 和也 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (90391937)
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Keywords | 複合材料・物性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、分子性導体を用いた常圧下におけるゼロギャップ物質の開発である。分子性導体の多くは有機分子(陽イオン)と陰イオンからなる結晶で、隣り合った有機分子に沿って1次元的、あるいは2次元的な伝導経路が形成される。様々ある分子性導体の中、現在最も注目されているのが田嶋らにより発見された、圧力下で実現する分子性導体α-(BEDT-TTF)2I3を用いたゼロギャップ物質である[1]。本研究では、合成化学的視点から、分子性導体を用いた常圧下でのゼロギャップ物質の実現を目指した。 ゼロギャップ物質では、ディラックコーンと呼ばれる、二つの円錐が頂点で接するようなバンド構造を持つ。低エネルギー側が荷電帯、高エネルギー側が伝導帯である。さらにフェルミエネルギーが、そのバンドの接点と同じになっている。鈴村らは、α-(BEDT-TTF)2I3の圧力下での結晶構造を元に、このバンド構造を見出した[2]。金属に見られるフェルミ面や、半導体で形成されるバンドギャップではなく、ゼロギャップ物質では“フェルミ点”を形成することにより、質量ゼロのディラック-フェルミ粒子の発生が可能になる。ゼロギャップ物質の名の元となったこの“フェルミ点”を有するため、温度変化に依存しない電気抵抗など、特異な物性の発現が可能となる。合成化学的なアプローチでゼロギャップ物質の新規開発を行う場合、固体のバンド構造においてこのようなディラックコーンを形成する物質を開発すれば良いことがわかる。本研究では、非対称型金属錯体を用いて、常圧下ゼロギャップ物質作成の可能性を探り、これらの化合物を用いることにより常圧下ゼロギャップ物質を合成できる可能性を示すことができた。 [1]J. Phys. Soc. Jpn. 2006, 75, 051010. [2] J. Phys. Soc. Jpn. 2006, 75, 054705.
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Research Products
(33 results)
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[Journal Article] Molecule-displacive ferroelectricity in organic supramolecular solids2013
Author(s)
Heng-Yun Ye, Yi Zhang, Shin-ichiro Noro, Kazuya Kubo, Masashi Yoshitake, Zun-Qi Liu, Hong-Ling Cai, Da-Wei Fu, Hirofumi Yoshikawa, Kunio Awaga, Ren-Gen Xiong, Takayoshi Nakamura
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 3, 2249
Pages: 6
Peer Reviewed
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