2012 Fiscal Year Research-status Report
有機分子半導体/金属強磁性体界面の電子状態制御による垂直磁気異方性の増大
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24750120
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
張 憲民 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 助教 (60580347)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 垂直磁気異方性 / 有機半導体 / 電圧誘起磁性 / 界面磁性 / 有機スピンバルブ |
Research Abstract |
本研究では、Alq3, C60, およびペンタセン(pentacene)等の有機物質と3d遷移金属との接合における電界印加磁気異方性を研究する.目的は次のとおりである.1.どのような有機物質と金属との組み合わせが最も大きな垂直磁気異方性が誘導されるかを明らかにする.誘導される磁気異方性が1 Merg/ccのオーダーとなる組み合わせをひとつの目標とする.2.垂直磁気異方性の原因を考察するとともに,このような接合が将来的に実用デバイスとして実現可能か否かをトンネル接合を作製して検討する. 本年度は,磁性体にCoを用いた素子を作製し,研究を進めた.作製した素子の構成は,Si/SiO2/Pt(10)/Co/C60/ITOないしSi/SiO2/Pt(10)/Co/C60/SiO2/Pt(膜厚の単位はnm)である.いくつかの厚みのC60層において,Co層の厚みを面内磁化から垂直磁化に変化するように系統的に変化させた素子を作製した.素子は電圧を印加しながら極カーループによって評価した.いくつかの素子において電圧に対する微弱な変化が観測されており,詳細な研究を進めている. 加えて,マグネタイトとC60層の接合素子を作製し,磁気伝導特性を調べたところ,C60層の厚みが80 nm程度でも室温で磁気抵抗を観測することに成功した.この成果は高インパクトファクタの雑誌に掲載された.比較的長い距離にわたって電子スピン情報が失われずにC60層を輸送されると考えられるが詳細を検討している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに進捗しているため.また,前述のC60層における長いスピン記憶長に関する結果は,当初まったく予期していなかったが大きな成果と言える.
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り電圧印加の研究を進め,これまではコバルトのみであった磁性体を系統的に変化させ研究を行う. 当初は想定していなかったが大きな成果が得られたため,マグネタイトを用いた磁気抵抗効果や電圧誘起磁性についても検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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