2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24750128
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
板谷 篤司 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 研究員 (60379708)
|
Keywords | セラミックス / ゼオライト / 細孔 / 窒素 / エタン / 吸着 / 活性化 |
Research Abstract |
セラミックス材料であるゼオライトやメソ多孔体シリカの細孔を反応場として利用すれば、本来、不活性なガスとして知られるものでも活性化することができる。本研究では、このようなセラミックス材料を用いて、不活性ガスである窒素分子を代表とするガスの活性化をマイルドな条件下(室温付近の温度や低いガス圧)で達成することを目的としたチャレンジングなテーマである。また、窒素の固定化や活性化を目指した研究は、窒素肥料の原料であるアンモニアが得られる可能性があるという点から食糧問題を解決するための重要な課題の一つで意義深い。銅イオン交換ゼオライトは、室温でさえ窒素と相互作用することが知られているが、この物質はイオン交換時に用いた対イオンの種類やイオン交換回数をかえることにより窒素吸着能を制御することができる。本研究では、窒素に対して高い不可逆吸着特性を示す試料の調製法を確立した。一方、生物学の分野では、ニトロゲナーゼが窒素を固定化する酵素として知られている。このニトロゲナーゼはアセチレンも活性化し、酵素中の活性サイト上で橋かけしたアセチレン種が形成されることが示されている。最近、銅イオン交換ゼオライトは、室温でアセチレンと同様に炭素2原子からなるエタン分子のC-H結合を活性化することもわかってきた。活性サイトの状態をX線吸収微細構造や赤外線吸収スペクトルなどの分光測定から調べたところ、ゼオライト細孔内に形成された二核銅サイトにエタンが橋かけした状態で吸着していることも明らかとなった。さらに、一酸化炭素とエタンの共吸着法を利用して、このような二核銅サイトの状態を詳細に明らかにし、銅イオン交換ゼオライト中の窒素の固定化に対する活性中心の状態を理解する上でも重要な情報を得ることができた。
|