2013 Fiscal Year Annual Research Report
ベシクルを一重項酸素発生場とする酸素化反応システムの構築
Project/Area Number |
24750131
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
松本 仁 宮崎大学, 工学部, 准教授 (90363572)
|
Keywords | 光増感剤 / ポルフィリン / ベシクル / 酸素化反応 |
Research Abstract |
本研究は、光増感剤である両親媒性ポルフィリン錯体(1)を吸着させたベシクル({1}、{ }はベシクルを表現)をベシクル固定型増感剤とした、光照射による有機化合物の酸素化反応系を構築することを目的とした。 前年度は、二本のアルキル基を有するグリセロールを片方、あるいは、両側の軸配位子に導入した1b、1cおよびアルキルピリジニウム基を有する1dを合成した。{1}の調製に際し、片方の軸配位子に一本のアルキル基を有する1aのリン脂質ベシクルへの吸着性を調べた結果、1aはベシクルに対してラングミュア吸着することが分かった。また、{1a}による光増感酸素化反応を、9,10-ジメチルアントラセン(DMA)を標的分子として検討した。DMAをベシクル内に共存させた{1a-DMA}溶液におけるDMA酸素化反応は、MeOH溶液中よりも高効率であった。さらに、この反応は、DMAから1aへの光誘起電子移動(タイプI)経路で進行しており、ベシクル内での酸素化反応機構の解析方法を確立した。 最終年度は、1とDMAとを別々のベシクルに吸着させた{1}/{DMA}溶液による光酸素化反応を行った。その結果、一重項酸素発生によるタイプII経路での反応が確認できたものの、タイプI経路での反応も存在した。そこで、反応経路の制御のため、{1}の調製方法を見直し、1を添加後にベシクルを形成させた結果、片側にアルキル軸配位子を有する1a、1bはベシクル表面に、両側にアルキル軸配位子を有する1cでは、ベシクルの二分子膜内部に発色団が配向することがわかり、反応機構の変化が示唆された。さらに、別の反応場としてヒト血清アルブミン(HSA)を想定し、1dのHSAへの吸着性を検討し、1/HSA複合体の形成に成功した。 以上のことから、{1}はベシクル固定型増感剤として機能し、有機化合物の光酸素化反応系が構築されたものと考えられる。
|
Research Products
(3 results)