2013 Fiscal Year Annual Research Report
動的8配位型サイクレン―金属錯体を基盤とした環状ホスト分子の高次機能化
Project/Area Number |
24750133
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
伊藤 宏 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任講師 (90506734)
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Keywords | 超分子化学 / 金属錯体 / サイクレン / 分子認識 / 構造有機化学 / キラリティー / ランタノイド / ナトリウム |
Research Abstract |
本研究では8配位型サイクレン―金属錯体を基盤とした新規環状ホスト分子を構築し、その内部空間を利用した分子認識及び機能発現を達成した。 (1) 環状リガンドの構築:種々のアミド型8配位サイクレンの側鎖にリンカー部位を導入することにより、環状リガンドの構築を行った。リンカー部位として様々な結合様式を検討した結果、ジアミノキシレン誘導体を用いたアミド結合型の架橋部位を有する環状体について合成の確立・構造決定・動的構造変化の解明を行った。 (2) 新規機能発現:ホスト分子の更なる機能化を目指し、部分構造を用いた機能開発を行った。 ① 作用様式の異なった2種類の外部キラリティー(配位性/非配位性)を用いたホスト分子への不斉誘起を行った。② 不斉誘起制御に初めてTMS-ジアゾメタンによるエステル化を利用した。キラルアミノ酸アニオンとTMS-ジアゾメタンを交互に加えることにより、外部アニオンの中心金属への配位のオン―オフを制御し、キラルプロペラ構造の誘起→消去→再誘起を繰り返す事に成功した。 (3) 二核錯体を用いた分子認識:(1)で得られた環状リガンドから種々の二核錯体を合成し、その分子認識能を調べた。特にナトリウム二核錯体を用いることにより、ナトリウム錯体によるキラルジアニオンの立体構造の動的識別に初めて成功した。また、キラル側鎖を導入したランタノイド二核錯体は、ジアミノ酸のキラリティーの違いにより発光強度が大きく変化し、裸眼での識別が可能であった。 (4) 二核錯体の固体物性:ランタノイド二核錯体は、全て類似の結晶構造を有していた。これを利用することにより二種類の金属を含む結晶の作成を行った。例えばEu(III)とTb(III)の両方の金属を含む結晶は、それぞれの金属の発光色の間であるオレンジ色発光を示すことが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)