2013 Fiscal Year Annual Research Report
防腐剤に起因するハロゲン化芳香族類の水圏生態系蓄積と生体内運命の解明
Project/Area Number |
24750148
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
寺崎 正紀 静岡県立大学, 付置研究所, 助教 (10363904)
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Keywords | 塩素化パラベン / 代謝反応 / 代謝物 / 標品合成 / 内分泌かく乱作用 / 水生生物 / 慢性毒性 |
Research Abstract |
はじめに前年度に発見した3物質の代謝物の標品合成に取り組んだ。まず二塩素化イソプロピルパラベンの芳香環に水酸基を導入した代謝物は、2,4-ジヒドロキシ安息香酸を原料に、塩化スルフリル/酢酸による塩素化、続く2-プロパノール中酸触媒下のエステル化による2段階で合成し、最終生成物をHPLCにて精製した(全収率7.4%)。次いで、二塩素化プロピルパラベンの側鎖2位または3位に水酸基をもつ代謝物を合成した。前者はベンゼン中DBU触媒下、塩素化ヒドロキシ安息香酸と1-ブロモ-2-プロパノールを還流した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー上でトルエン/酢酸エチル(6/4, v/v)で展開した最初の画分から目的物を得た(収率68%)。後者は酢酸亜鉛存在下、二塩素化メチルパラベンと1,3-プロパンジオールとの加熱で合成、ヘキサン/酢酸エチルから再結晶して得た(収率57%)。いずれの物質も核磁気共鳴分光法と精密質量分析から構造を確認した。 合成標品を含む代謝5物質を、酵母アッセイ法にてエストロジェン(ER)と芳香族炭化水素受容体(AhR)活性を評価した結果、側鎖に水酸基をもつ2物質がAhR活性をもつことを明らかにした。 また、前年度より継続している水生生物(ニセネコミジンコ)への慢性毒性試験を完結させた。パラベン類の疎水性の増加とともに、致死率増加、産仔数低下、初産日までの期間短縮が見られた。産仔数は最も低濃度で影響がでたためエンドポイントとした。その無影響濃度(NOEC)は0.04 ~10 mg/Lとなったが、プロピル、イソプロピルパラベンとそれらの塩素化体は濃度非依存的な毒性傾向がありNOECは決定できなかった。本データと既知急性毒性、ER活性から、主成分分析およびクラスター分析を実施した結果、4グループに分類できた。これによるとプロピルとベンジルパラベン(それら塩素化体も含む)は、メチルパラベンとは異なる毒性プロファイルを持つことがわかった。
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Research Products
(6 results)