2012 Fiscal Year Research-status Report
多孔性金属錯体による時空間制御型一酸化窒素放出プラットフォームの創成
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24750159
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
DIRING Stephane 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 助教 (80580985)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 配位高分子 / 金属錯体 / 多孔体 / 細胞刺激 / ナノバイオ / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
一酸化窒素(NO)は生体系において、神経伝達・細胞拡張・ホルモン分泌といった非常に重要な役割を担っている生体活性ガス分子である。一方で濃度が高すぎると毒性を有するため、NOは「諸刃の剣」として働く分子である。しかしながら、生体内においてその合成経路は一酸化窒素合成酵素に限られており、NOの作用を様々な細胞で調べるためには、人工的材料によるNO放出制御技術の開発が待ち望まれていた。 本年度は、NO放出制御有機配位子による多孔性金属錯体の合成に成功し、生体適合性材料との融合により時空間制御型細胞機能操作プラットフォームの構築を行った。具体的には、ニトロ基を有するイミダゾール型有機配位子を用いて亜鉛イオンとの反応により多孔性金属錯体を構築し、紫外光によるNO放出可能な多孔性材料開発に成功した。さらに、この数マイクロメートルサイズの結晶を生体適合性材料であるPDMS中に埋め込み、機能性細胞培養基板の開発を行った。実際に、様々な生細胞を用いて光刺激実験を行ったところ、多孔性金属錯体から放出されたNOは生細胞に取り込まれることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、細胞を用いた生物学的実験を行うのは平成25年度の予定であったが、研究が計画以上に進展したため、平成24年度に生細胞を用いた実験を行い、さらにここで合成したNO放出多孔性金属錯体が細胞の化学刺激に対し非常に有用であることを示す事ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度はNO放出型多孔性金属錯体の数マイクロメートルの結晶を用いて、細胞外から細胞を刺激するプラットフォームの構築に成功した。本年度は結晶のサイズ制御を行い、さらに数十ナノメートルの結晶を作成した後、細胞への取り込みを行うことで、細胞内の一部のみを刺激することが可能なプラットフォームの構築を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、NO放出型多孔性金属錯体の結晶サイズ制御及び、生細胞を用いた取り込み実験と局所的化学刺激実験を中心に行う。そこで最も重要なものが、細胞内でのNO放出を確認するために必要な蛍光プローブである。蛍光プローブは非常に高価なものであるが、必要不可欠な実験材料であるためその購入を計画している。また、通常の化学合成に必要な試薬類、ガラス器具類の購入も計画している。 さらに、昨年度達成した課題の発表を国内外で行う予定であり、そのための旅費への使用を計画している。
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