2012 Fiscal Year Research-status Report
低pH環境を可視化する蛍光プローブの開発と生体イメージングへの応用
Project/Area Number |
24750160
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小和田 俊行 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任助教 (40584397)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 蛍光プローブ / 破骨細胞 / BODIPY / 生体イメージング |
Research Abstract |
我々の体を支える骨組織では、破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成のサイクルが繰り返され、骨強度や形状が保たれている。破骨細胞による過剰な骨吸収は、関節リウマチや骨粗しょう症などの骨疾患を引き起こすことが知られているため、その細胞機能の解明は急務である。破骨細胞の機能をリアルタイムに可視化するためには、高感度かつ空間分解能の高い蛍光イメージング法が有力である。しかしながら、破骨細胞活性を検出する既存の手法は、酵素認識による蛍光回復を利用していることから、特異性が低く不可逆なシステムであることが問題であった。 本研究では、上記の問題点を解決するために、破骨細胞が骨吸収時に形成する低pH領域に着目し、可逆的なpH変化を蛍光シグナルとして読み出すための蛍光プローブの開発を行った。我々はこれまでに、ボロン‐ジピロメテン(BODIPY)色素を母骨格とするpH感受性蛍光プローブとしてBAp-Eを開発し、マウス体内で骨吸収を行う破骨細胞のイメージングに成功している。このBAp-Eを用いることで、生体内において成熟破骨細胞には(1)骨吸収をしていない休止期の細胞と(2)活発に骨吸収をしている細胞の2種類が存在することを明らかにした。これらの細胞の存在を視覚的に捕えることは既存のプローブでは困難であり、本プローブは破骨細胞機能解明において有力なツールであると言える。更に、破骨細胞の活性変化がリアルタイムに評価できることから、破骨細胞が関連する骨疾患の治療薬開発に対して重要な手法であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究において開発したpH感受性蛍光プローブが、マウス体内における破骨細胞活性の検出に利用可能であることを示した。それだけに留まらず、成熟破骨細胞の休止期と活動期という2種類の存在を示したことは、非常に意義のある研究であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
破骨細胞機能の解明に向け、細胞活性の経時的な観察を達成する。さらに、動物個体内でのイメージングに使いやすくするため、蛍光プローブの蛍光波長をより長波長領域へと伸長する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究遂行にあたり、必要に応じて物品の購入等を行ったため、当初予定していた見込み金額と執行金額に差が生じてしまった。しかし、研究計画自体には変更はなく、前年度の研究費も併せて、申請時の計画通りに研究を進めていく。
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[Journal Article] Dynamic visualization of RANKL-mediated functional control of multinucleate osteoclast function in vivo2013
Author(s)
Junichi Kikuta, Yoh Wada, Toshiyuki Kowada, Ze Wang, Ge-Hong Sun-Wada, Issei Nishiyama, Shin Mizukami, Nobuhiko Maiya, Hisataka Yasuda, Atsushi Kumanogoh, Kazuya Kikuchi, Ronald N. Germain, Masaru Ishii
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Journal Title
J.Clin.Invest.
Volume: 123
Pages: 866–873
DOI
Peer Reviewed
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