2013 Fiscal Year Annual Research Report
低pH環境を可視化する蛍光プローブの開発と生体イメージングへの応用
Project/Area Number |
24750160
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小和田 俊行 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任助教 (40584397)
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Keywords | 蛍光プローブ / イメージング / 破骨細胞 / pH感受性 |
Research Abstract |
前年度までに開発したpH感受性蛍光プローブ「BAp-E」は、光安定性が低く、二光子励起顕微鏡を用いた長時間イメージングには適用できないことが、研究の過程で明らかとなった。そこで、プローブ構造の再設計を行い、より光安定性の優れた蛍光プローブの開発を行った。具体的には、まず、BAp-Eの光退色の原因を究明すべく、試験管内のプローブ溶液に対して光照射を行い、蛍光強度変化を観察した。その結果、BAp-Eの光安定性は、一般的に光退色し易いことが知られているフルオレセインよりも低いことが明らかとなった。この光照射による蛍光退色は、溶液中の溶存酸素を取り除くことにより著しく改善されることがわかった。したがって、光照射によって生じる一重項酸素が光退色の主な原因であると考えた。そこで、一重項酸素への反応性を低下させることで、プローブの安定性を向上させることを狙った。また、プローブ母骨格の構造改変により電子状態が変化してしまうため、量子化学計算を用いて構造探索を行い、プローブのpH応答性を最適化した。開発した改良型プローブをマウスに投与し、二光子励起顕微鏡を用いて、マウス頭頂骨内で活動する破骨細胞のイメージングを実施した。プローブの光安定性が向上したため、2時間以上に渡る経時的観察が可能であった。さらに、本プローブを用いることで、破骨細胞が骨吸収を開始する瞬間を捉える事に成功した。 以上の知見を生かし、プローブの蛍光波長の長波長化にも取り組んだ。その結果、BAp-Eに比べ約50 nmの長波長化に成功した。さらに、試験管内にてプローブの光安定性を評価した結果、長時間イメージングに十分耐えられるだけの光安定性を有していることが明らかとなった。
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