2014 Fiscal Year Annual Research Report
ドメインスワッピングによるタンパク質多量化を利用した機能性分子配列
Project/Area Number |
24750163
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
長尾 聡 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教 (30452535)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シトクロムc / 多量化 / 光化学的特性 / ドメインスワップ / ミオグロビン / シトクロムc551 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、光捕集アンテナのような優れた機能をもつ分子の機能発現メカニズムの解明を目標に、光応答性をもつ亜鉛置換シトクロムcの多量体をドメインスワッピング機構で形成し、その多量体の構造-機能相関の理解を目指している。前年度までの研究結果より、亜鉛置換シトクロムcは単量体の光化学的特性を保持したまま多量体形成が可能であり、溶液中において多量体は鎖状構造をとっていることが明らかとなった。
最終年度となる平成26年度は、(A)溶液中におけるシトクロムc多量体の環状化の検討、及びシトクロムc多量体の環状化が困難な場合への対応として(B)他のヘムタンパク質を用いた多量化とその構造及び機能特性の検討を行った。具体的には、(A)シトクロムc多量体の溶液構造の挙動を検討し、1. 金属配位部位を導入した変異型シトクロムc多量体に金属イオンを添加すると多量体の溶液構造がコンパクトになることを明らかにした。また、2.分子内静電反発を減少させた変異型シトクロムc多量体においても溶液構造がコンパクトになることを明らかにした。(B)他のヘムタンパク質については、ミオグロビンおよびシトクロムc551の多量化を検討し、3.ミオグロビンは二量化後も構造及び配位子結合特性を保持しており、4.シトクロムc551は二量化後も構造及び酸化還元電位を保持していることを明らかにした。
研究期間全体を通じて、シトクロムcを亜鉛置換しても多量化することが可能であり、多量化後も構造及び光化学的特性を保持していることが明らかとなった。また、溶液中において亜鉛置換シトクロムc多量体は鎖状構造を有しており、金属配位や分子内静電反発の減少によりコンパクトな構造に変化することが分かった。他のヘムタンパク質を多量化した場合も単量体の構造及び機能を保持していたことから、ヘム鉄の亜鉛置換によって光応答性をもった多量体を構築可能であることが示唆された。
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