2013 Fiscal Year Annual Research Report
天然変性タンパク質の相互作用解析による新規分子認識モデルの創成
Project/Area Number |
24750166
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長門石 曉 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30550248)
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Keywords | 天然変性蛋白質 / 物理化学解析 / 溶媒和 / 核酸 |
Research Abstract |
当該年度では、熱力学的、及び分光学的手法を用いて、YB-1の核酸結合メカニズムを物理化学的に解析した。さらにYB-1の核酸結合部位を同定するために、YB-1の欠損体を作製し核酸との結合を調べた。 既に結合することが分かっているY-box配列DNAの一本鎖 (cY-box DNA) とYB-1の非翻訳領域RNA (YmRNA) を用いて等温滴定型熱量計ITCによる結合解析を行った。DNAとの結合実験より、DNAの主な結合部位はC末端領域(C-term1)であることが示された。一方RNAとの結合実験では、N末端領域(CSD)に対して強い発熱反応を示した。これはCSDがRNAとの結合に重要であることを示唆した。さらに塩濃度変化と比熱容量解析の結果より、C-term1とDNAは非静電的な結合で、疎水面からの脱水和が起きていることが示唆された。一方、CSDとRNA間の結合は静電的な特徴を有した特異的な結合である可能性が示された。 本研究より、YB-1はDNAとRNAの結合に対して、それぞれC-term1とCSDが重要な結合ドメインであり、核酸間で異なる結合メカニズムを有していることが明らかとなった。DNAに対する非静電的な結合は、YB-1が二重鎖DNAをほどいて転写を抑制する機能と関与する可能性が考えられる。一方でCSDはRNAに対して特異的な結合を示し、mRNAに対する翻訳制御に関与しているかもしれない。このように、YB-1と核酸間の物理化学的な定量解析により、YB-1の分子レベルでの機能を明らかにすることに成功した。
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