2014 Fiscal Year Annual Research Report
常磁性金属修飾糖鎖を用いた過渡的相互作用の動的観察
Project/Area Number |
24750170
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
山口 拓実 分子科学研究所, 生命・錯体分子科学研究領域, 助教 (60522430)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 糖鎖 / NMR / 常磁性 / 立体構造解析 / ダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内では、分子間の弱い相互作用による過渡的な複合体形成が重要な役割を果たしている。本研究では、弱い相互作用の担い手として糖鎖に着目し、常磁性タグ修飾を施した糖鎖を応用することで、糖鎖の立体構造、ダイナミクス、相互作用様式を明らかにすることを目的とした系統的な解析を実施してきた。 平成26年度においては、前年度までに確立した安定同位体標識と常磁性タグ修飾を活用した核磁気共鳴法による精密実験データに裏付けられた分子シミュレーションを通じて、複雑な分岐構造と柔構造を有する高マンノース型糖鎖の動態を定量的観点から描象することを行った。その結果、糖タンパク質の細胞内運命の決定に関わる高マンノース型糖鎖M9から末端のマンノース1残基をとり除いただけで、糖鎖のコンフォメーション空間が顕著に広がることを明らかとした。こうした糖鎖のダイナミックな立体構造変化は、糖鎖とレクチンとの間のコミュニケーションに重要な役割を演じていることが予想された。さらに、結晶構造データの結果と合わせた解析から、細胞内レクチンによるこれらの糖鎖の分子認識に際して、多様な構造アンサンブルの中の特定のコンフォマーが選ばれることを示すことができた。また、安定同位体標識を施した糖脂質の合成法を確立し、固体NMR法による精密解析を可能とすることができた。
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Research Products
(12 results)