2013 Fiscal Year Annual Research Report
ナノポアによる1分子糖鎖高分子の分岐構造分析法開発
Project/Area Number |
24750171
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
武政 誠 独立行政法人理化学研究所, 前田バイオ工学研究室, 客員研究員 (30318795)
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Keywords | ナノポア / 多糖類 / 分岐高分子 / 1分子 / デキストラン |
Research Abstract |
平成25年度は固体ナノポアのデバイス設計を改良する事で電流検出を安定させ、かつノイズを低減させる事に成功した。具体的にはナノポアを形成する薄膜部分の容量を低減させるべく、必要最低限の領域のみを薄膜とし、それ以外の膜厚を増加させた。膜部分の厚みを2段階に変化させることで膜容量を数十分の1へと大幅に低減させた。このデバイスを利用してイオン電流計測を行い、コールター原理に基づいて分岐構造を有する多糖類の分析を行ったところ、従来よりも詳細な1分子内の断面積変化を計測する事が可能となった。その結果当初の目的、すなわち分岐構造に関する情報を一部の分子で得られるようになった。ナノポアを利用する事で、多数分子の平均としてではなく、1分子単位で高分子の分岐構造、例えば分岐位置や側鎖の長さに関する情報も得る事が可能になりつつある。 より高い分解能で分岐位置の特定を行うべく、圧電スキャナによるナノポア内における1分子の位置決めの開発も継続して行った結果、技術的に実現可能となりつつあるが、成功率が高いとは言えないため今後の改良が必要である。この問題を解決し、さらに前述の低ノイズ固体ナノポアと組み合わせる事で、従来のナノポアの欠点を補う技術になって行くと期待される。 以上のように、ナノポアを経由したイオン電流計測により、多糖類をはじめとした糖鎖高分子を1分子単位で検出する事が可能となった。またその1分子内の折りたたみや分岐構造など微細構造も含めた精密計測が可能であり、太さ方向に関しては糖1個単位の分解能を持つな強力な手法であることが確認された。
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