2012 Fiscal Year Research-status Report
蛍光挿入型siRNAアナログを用いたRNA干渉の作動機構の解明
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24750173
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
神谷 由紀子 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00527947)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | siRNA / RNAi / RNA結合タンパク質 / 機能性核酸 / 蛍光プローブ / クロスリンク |
Research Abstract |
RNA 干渉(RNAi)は2 本鎖RNA により誘導され、その塩基配列に相補的な遺伝子の発現を抑制するシステムである。本研究では、解析ツールとなる機能性分子を修飾したsiRNAを作出し、これを利用してRNAiマシーナリーを構成する一連のタンパク質によるRNAiシステムの作動メカニズムを解明することを目的とした。 H24年度は、機能性分子を修飾することにより、分子ツールとして用いるsiRNAの開発に注力した。特に、蛍光基修飾型およびクロスリンク基挿入型のsiRNAをデザインし、siRNAの細胞内動態のモニタリングやタンパク質との相互作用解析を行うための基盤を整えた。そのために、各種機能性化合物を合成し、siRNA配列内の適切な挿入位置の検討を行った。合成したsiRNAの評価をルシフェラーゼレポーターアッセイ法を用いて解析したところ、RNAi活性の向上及びOff-target効果の抑制を両立することが可能な修飾siRNAを得ることに成功した。 機能性siRNAのなかでも消光剤―蛍光剤の対で修飾を施したsiRNAを用いることでsiRNAの細胞内モニタリングを試みた。消光剤―蛍光基のペアを配列内部に導入したsiRNAを用いることで、細胞内でRISCに取り込まれたsiRNAを可視化することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
RNAi機構を解明するために、分子ツールとなる機能性siRNAの合成に成功したのみならず、これを用いたイメージング解析によりRISCを選択的にモニタリングすることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度は、クロスリンク基挿入型のsiRNAをもちいて、RNAi関連タンパク質との相互作用の詳細を解明することを計画している。具体的にはH24年度に開発した光架橋性の分子を導入したsiRNAの設計の最適化を行い、RNAi関連タンパク質であるDicerおよびAGO2との相互作用解析に用いる。そのためには各タンパク質のリコンビナント体を得る必要がある。これらのタンパク質の大量発現系を構築し、得られたタンパク質とsiRNAの複合体形成に伴い光架橋することで、タンパク質上のsiRNA結合部位のマッピングを行う。 また、哺乳細胞ではRNAi 機構が複雑化していることも明らかとなっており、超分子複合体が新規タンパク質によって機能調整されている可能性がある。そこで、未知タンパク質を捕捉するためのクロスリンク基を挿入したsiRNA 分子をプローブとして、哺乳細胞の抽出液とのプルダウン解析を行い、質量分析法と組み合わせてsiRNA 分子と結合するタンパク質複合体の構成因子を同定することを試みる。 さらに、蛍光基を挿入したsiRNA 分子を用いてRNAi にかかわるRNA 結合タンパク質との相互作用解析を実施する予定である。 以上の手法を駆使することにより、RNAiマシーナリーを構成するタンパク質がどのように連携して一連の反応をRNA に仕掛けているのか、その作動機構の実体を解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度の研究は名古屋大学に設置されている共有設備の顕微鏡を用いてイメージング解析を行うことができたため、顕微鏡のセットアップにかかる費用を節約することができた。H25年度の研究計画では、蛍光挿入型siRNAを用いた解析をさらに発展させる予定であり、これに伴い細胞内イメージング用蛍光顕微鏡の消耗品の一部を補充する必要がある。そのための費用を予定し繰越額とした。
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Research Products
(4 results)