2013 Fiscal Year Annual Research Report
不代替透明導電膜を目指した電気化学的グラフェン合成法の確立と印刷法の導入
Project/Area Number |
24750175
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
沖本 治哉 山形大学, 理工学研究科, 助教 (20510168)
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Keywords | グラフェン / 電気化学 |
Research Abstract |
炭素材料の1つであるグラフェンは、炭素原子が2次元平面状に結合した化合物である。電気電導性を高めやすくしなやかな特徴を有している。例えば、従来の硬い金属導電体の代替材料であるとか、柔らかい導電性高分子の代替材料として期待されている。このような魅力的な材料の実用において、最も重要な事は安価・安全に多量のグラフェンを作製する技術である。これまでに、真空装置を活用した化学気相成長法や化学修飾を利用した方法が報告されている。本研究では、より安価・安全をめざし、グラファイトが層状物質であるという点を利用し、層間へのインターカレーション反応を利用したグラフェン作製方法を開発した。グラファイトを電極として見立て、挿入したい物質を溶かした電解質溶液中で電圧を印加することで、様々なイオンがグラファイト表面で反応してグラファイト層間が膨張することが分かった。特に安全面に配慮し、電解質として、硫酸ナトリウムといった塩電解質を利用することで、従来の硫酸や硝酸のような酸性の強い電解質を使用しなくても、薄層のグラフェンが得られることが明らかとなった。また、電解質の種類においては、弱酸性塩電解質に比べ、強酸性塩電解質の方が、薄層のグラフェンが得られることが分かった。グラファイトに与える電位については、電解質濃度に応じて、グラフェンが作製できる閾値電位があり、閾値電位以上では、高電位ほどグラフェンが薄層化することが明らかとなった。 液相中のグラフェン作製手法は、酸化反応を利用した合成法であった。この方法では、強力な酸化反応を利用してグラフェンを作製する一方で、微細な膜厚制御が困難であった。本研究を通して、異分子を挿入する概念を導入することで、おおよその膜厚制御が可能になったと考えられる。
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