2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規フッ化鉄材料の開拓と二次電池用正極材料としての応用
Project/Area Number |
24750181
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 一彦 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教 (30574016)
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Keywords | 電池 / フッ素 / コンバージョン |
Research Abstract |
本研究ではアモルファス構造を持ち、比表面積が大きいというユニークな特徴を有している高比表面積金属フッ化物の電極材料として応用に着目し、特に高比表面積フッ化鉄(III)の合成法を確立すること、その物理的及び化学的性質を調べること、二次電池用正極としての応用を目指してその電気化学的特性を評価すること、さらに正極材料として高性能化させることを目的として研究を行っている。 平成25年度は前年度までに確立した高比表面積フッ化鉄(III)(HS-FeF3)のリチウム電池用正極としての挙動を調べるために、各種の電気化学測定を行った。まず、有機電解液(1M LiPF6-エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート(1:1))中におけるHS-FeF3のサイクリックボルタンメトリーにおいてFe(III)からFe(II)及びFe(II)からFe(0)への還元波及びこれに対応する酸化波が観測された。次に低い電流密度で充放電することで、HS-FeF3と市販のFeF3の特性の違いを調べた。市販のFeF3では過去の報告通り初期放電曲線の3 V付近でFe(III)からFe(II)への還元が観測された。一方でHS-FeF3ではこの還元の容量が小さく、インサーション反応が起こる電位領域でFe(II)への還元が起こりにくいことが分かった。これは材料の非晶質化が原因であると思われる。一方で1 Vまで放電するとほぼ三電子反応の理論容量まで放電容量が観測されたため、低電位領域で起こるコンバージョン反応によってFe(0)までの反応が進行したと考えられる。また、HS-FeF3では4.5 Vまでの充電では十分な充電容量が得られなかったが、その後の放電では高い可逆性が得られ、HS-FeF3の利用によりコンバージョン領域の反応を効率的に利用できる可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)