2013 Fiscal Year Annual Research Report
液晶有機半導体の配向制御とその応用による太陽電池の電子物性の解明
Project/Area Number |
24750188
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
赤池 幸紀 独立行政法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 特別研究員 (90581695)
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Keywords | 分子配向 / 有機太陽電池 / 電荷輸送 / 電荷生成 |
Research Abstract |
バルクヘテロ接合型有機太陽電池の活性層内のドナーとアクセプターの相対配置については分かっていないが、アクセプターに対するポリマーの配向(またはその逆)は、ドナー/アクセプター間の距離・HOMO/LUMOのエネルギー・界面電子準位接続などに影響しうるため、電荷分離/再結合機構に与える因子を解明する上で重要である。今回の研究助成においては、下記のことを達成した。 1. 電荷分離/電荷抽出にはface-on配向が有利:P3HTの配向をラビングでedge-on配向からface-on配向に変え、積層型有機太陽電池の電流―電圧(I-V)特性と配向の異なるP3HT薄膜の物性の関連を詳細に調べた。face-on配向の素子では、フィルファクター(FF)が増加した。これは、face-on配向膜の高い移動度により、電荷輸送もしくは電荷抽出の効率が改善したと考えられる。また、蛍光の消光度は、face-onのほうが20 %大きいことが分かった。開放端電圧(Voc)はface-onでわずかに低くなる。今後、界面電子準位接続の精査を要すると思われる。 2. 光電変換界面における分子配向分布と太陽電池特性の相関を観測:太陽電池特性を改善する後処理として、熱アニールがよく行われる。我々は、PTB7を150度以上で加熱することで、π-πスタックの分布がOut-of-plane方向に揃い、よりface-on配向が強調されることを見出した。積層型太陽電池を作製し評価したところ、Jsc/FFが加熱により低下した。しかし、蛍光/吸収測定からは、励起子の生成/解離効率における違いを見出せなかった。電子移動吸収に対応する波長の単色光照射下でI-V測定を行った結果、加熱後に負バイアス側でkinkが観測された。これは、自由キャリアの生成効率が低下したことを意味する。
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Research Products
(7 results)