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2012 Fiscal Year Research-status Report

高性能固体電解質の設計指針確立を目指した高速イオン伝導性水素化物単結晶薄膜作成

Research Project

Project/Area Number 24750197
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

大口 裕之  東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40570908)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywords水素化物 / 薄膜 / イオン伝導体 / 全固体薄膜リチウムイオン電池
Research Abstract

次世代型高容量電池として期待される全固体薄膜Liイオン2次電池の実現のため、本研究では固体電解質として世界最高レベルのLiイオン伝導率を持つ錯体水素化物LiBH4の世界で初めての薄膜作成を行う。
LiBH4薄膜作成においては、市販の粉末LiBH4合成に利用されている固相気相反応2LiH(固体)+ B2H6(ガス)→ 2LiBH4(固体)を利用する予定である。そこで平成24年度は出発原料となる高品質LiH薄膜を作成から開始した。
当初は既報のLiH薄膜研究に倣ってパルスレーザー堆積(PLD)法を用いた。基板にはSi(100)、ターゲットには粉末LiHの圧粉体ペレットを使用した。成膜時の水素ガス圧力を0.1 ~ 1.0 Torrまで変化させて薄膜成長を行ったところ、いずれの水素ガス圧力でもLiH相の形成が確認されたが、再現性に乏しかった。またPLD法により高品質薄膜を得るためには原料が原子・分子レベルで基板に到達する必要があるが、マクロサイズで到達した原料に由来すると思われる島状部分が薄膜表面に多数観察された。以上の結果より本研究にPLD法は不向きであるとの結論に至った。
次に蒸着法を用いたLi薄膜堆積とその水素化反応によるLiH薄膜合成に着手した。Li薄膜をモリブデン多結晶基板上に室温で堆積し、その後0.5気圧の水素ガス中で30分間200°C以上に加熱した。加熱温度200°Cおよび250°Cにおいて合成した試料は、LiH由来のラマン分光ピークを常に示しており、両温度において再現性良くLiH薄膜を合成できることが明らかになった。一方、300°C以上の加熱温度では前述のピークが認めがたく、Li薄膜が水素化しにくいことが示唆された。このことは700°Cまででは合成温度が高いほど反応が促進される粉末の場合と明確な差異を示しており、水素化物薄膜合成における温度制御の重要性を示唆している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

PLD法が本研究に対して適さないことが明らかとなったため、手法の変更を余儀なくされた。また新手法採択後も、Li系水素化物薄膜作成の研究例が極めて希少であることに起因する知見不足のために、薄膜成長条件最適化に時間がかかった。以上の理由で当初予定した研究進捗よりやや遅れが生じているものの、Li系水素化物薄膜作成に必要な知見の蓄積が進んでおり、ほぼ未開拓なこの分野の今後の発展に大きな意義を持つ結果を得られている。

Strategy for Future Research Activity

以下に今度の研究について列挙する。
1. これまでは平衡状態においてLiと化合物を形成しないMoを基板として利用してきた。今後はLiH薄膜と基板の界面状態が膜質に与える影響を明らかにするため、平衡状態においてLiと化合物を形成するAuなどの上で薄膜作成を行う。また一般に水素化物と反応しやすい酸化物がLiH薄膜の膜質に与える影響を調べるため、MgOやAl2O3などの酸化物基板上でのLiH薄膜成長にも挑戦する。
2. 最適化した合成条件により作成した高品質なLiH薄膜を用いて、当初の予定通り固相気相反応2LiH(薄膜)+ B2H6(ガス)→ 2LiBH4(薄膜)によるLiBH4薄膜の作成および評価を行う。
3. 成膜室に併設した電気伝導測定室においてLiBH4薄膜のイオン伝導率を評価する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度使用額は、LiH薄膜作成に用いる手法を当初予定していたPLD法からLi薄膜の水素化法に変更したことにより生じたものであり、次年度以降に実施するLiH薄膜成長条件の最適化、LiBH4薄膜作成、およびLiイオン伝導特性評価に必要な経費として、平成25年度請求額と合わせて使用する予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2013

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 水素化リチウム薄膜合成条件の最適化2013

    • Author(s)
      大口 裕之
    • Organizer
      第60回応用物理学会春季学術講演会
    • Place of Presentation
      神奈川工科大学
    • Year and Date
      20130327-20130330

URL: 

Published: 2014-07-24  

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