2013 Fiscal Year Annual Research Report
高分子材料の構造制御手法を用いた前駆体構造の最適化による炭化ホウ素粉末の低温合成
Project/Area Number |
24750198
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
撹上 将規 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (90567249)
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Keywords | 炭化ホウ素 / 前駆体構造 / ポリオール / 熱炭素還元 / 低温合成 |
Research Abstract |
本研究では、ホウ酸‐ポリオール縮合物から得られる前駆体の構造制御による炭化ホウ素(B4C)粉末の低温合成を目的とした。平成25年度は物理的手法として縮合物への応力印加による前駆体の分散構造変化を検討した。 ポリオールとして、高分子ポリオールであるポリビニルアルコール(PVA)を用いた。新規に設計、製作した押出紡糸装置にホウ酸‐PVA縮合物を投入し、紡糸することで縮合物を繊維化した。これを大気中で熱分解することで繊維状の酸化ホウ素(B2O3)‐炭素前駆体を調製することができた。この前駆体を用いることで、より短時間でのB4C粉末の合成が期待される。 本研究により、化学的手法および物理的手法を用いて異なる分散構造を有するB2O3‐炭素前駆体を調製することが可能となり、その構造形成因子を理解することができた。さらに、これら異なる分散構造を有する前駆体からのB4C生成挙動を調査することで、B4C生成反応を支配している前駆体の構造因子を明らかにした。得られた知見を生かし前駆体構造を最適化することで、1200℃での焼成において残存フリーカーボンの少ないB4C粉末を合成することができた。B4Cの一般的な工業的製法である熱炭素還元法は約2000℃の高温を必要とする。本研究の手法はこの熱炭素還元法の発展的手法であり、前駆体の構造制御を導入することでB4C粉末の低温合成(1200℃)を実現した本研究の成果は工業的に有用であるといえる。
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