2012 Fiscal Year Research-status Report
酸化チタン光触媒薄膜上における付着汚染物質の水中下における除去挙動の解明
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24750203
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西本 俊介 岡山大学, 環境生命科学研究科, 助教 (90435826)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 光触媒 / 酸化チタン / セルフクリーニング / 超親水 |
Research Abstract |
酸化チタン光触媒薄膜による酸化分解特性および光誘起超親水化特性を利用したセルフクリーニング機能を有する外装部材は日本発の実用環境調和型技術として注目されている。その機能の発現メカニズムの概略は、①徐々に付着してくる油汚れは酸化分解特性により分解除去される、②多量に付着した油汚れは雨水により洗い流される(超親水化表面に水が入り込むため)、と認識されている。実際に、①に関する有機物の酸化分解挙動は詳細に検討されている。また、②に関する光誘起超親水化メカニズムに関しても先駆的な研究により概ね解明されていると考えられる。しかしながら、②における汚染物質の除去挙動に関しては、これまでに具体的な報告はなされていない。どの程度の紫外光量が必要であるか、どのような微細構造の薄膜が適しているのかといった知見を明らかにするとともに、紫外線照射量、光触媒活性、光触媒薄膜の微細構造、付着汚染物質量などのパラメーターが水中下(流水場)におけるセルフクリーニング効果に与える影響を明らかにすることができれば、現状の酸化チタン光触媒薄膜のさらなる高機能化のための有効な指針となるとともに、本実用環境調和型技術の適用場面の拡大にもつながると考えられる。そこで、本研究では、油性擬似汚濁物質で処理した酸化チタン光触媒薄膜を紫外光照射下および流水場に設置し、汚濁物質除去の様子を観察した。その結果、紫外光照射と流水とを付与した条件下では、それぞれ単独の際よりも汚濁物質除去効率が大幅に向上することが分かった。さらに、紫外光照射のみでは、ほとんど汚濁物質が除去されない微弱紫外光下においても、流水を付与することで汚濁物質が除去されることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酸化チタン光触媒のセルフクリーニング効果を増大させる因子を明らかにするための重要な知見を得ることに成功しているため。すなわち、現在までに、油性擬似汚濁物質で処理した酸化チタン光触媒薄膜を紫外光照射下および流水場に設置し、汚濁物質除去の様子を観察した。その結果、紫外光照射と流水とを付与した条件下では、それぞれ単独の際よりも汚濁物質除去効率が大幅に向上することを明らかにしている。さらに、紫外光照射のみでは、ほとんど汚濁物質が除去されない微弱紫外光下においても、流水を付与することで汚濁物質が除去されることを見出している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画どおりに研究を推進する予定である。すなわち、平成25年度は、酸化チタン光触媒薄膜の光触媒活性が水中下におけるセルフクリーニング効果に与える影響を検討する。例えば、チタン板の陽極酸化処理によって酸化チタンナノチューブ層を形成し、所定の温度(~500℃)で熱処理したものを試料として使用する。500℃以下の温度では、ナノチューブの空間に由来する微細構造に大きな変化は生じないと考えられる。従って、熱処理温度を変化させることで光触媒活性(アナターゼの結晶性)が異なる複数の試料を調整することができる。 また、研究最終年度であるので、得られた研究成果の総括を行い、特許申請、成果発表(学会、論文)を行うとともに今後の展望を明示する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究推進のための消耗品(高純度試薬、ガラス器具等)および旅費等(成果発表)に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)