2013 Fiscal Year Annual Research Report
無機層状半導体が形成する2次元層間に固定した酵素分子による高度光化学変換
Project/Area Number |
24750205
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
鎌田 海 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90315284)
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Keywords | 固定化酵素 / 層状物質 / 酸化物半導体 / インターカレーション |
Research Abstract |
酸化還元酵素を層間に固定した無機層状半導体(層状チタン酸)を用い、層間酵素の活性を紫外光照射によって制御した。光エネルギーは無機層状半導体のバンドギャップ励起を引き起こし、生成した光キャリアが遷移することで層間酵素が活性化されると考えられる。酵素あるいは無機層状半導体のみに光を照射した場合は光照射に伴う反応生成物の増加速度が極めて遅いことから、上述の反応機構によって層間酵素が活性化されていることが証明された。さらに、光照射のオンオフあるいは光エネルギー強度に応じて酵素反応生成物の濃度が鋭敏に変化し、光によって酵素反応速度を精密制御可能な新しい反応系が実現した。また、この光誘起酵素反応では励起光から層間酵素が無機半導体層により遮蔽されているため長時間にわたって安定に酵素活性が持続することが分かった。 一方、酵素活性の長期安定性を考慮すれば励起光として紫外光よりもむしろ可視光が好ましいと考えられる。従って、可視光で励起可能な鉄を含む無機層状半導体(層状鉄チタン酸)を合成し、酸化還元酵素の層間への導入を試みた。得られた層状半導体は鉄を含まない材料と比較して光吸収スペクトルの吸収端が紫外光領域から可視光領域近傍まで長波長側にシフトし、光誘起酵素反応に対する可視光の利用可能性が示唆された。研究実施期間内で可視光照射による酵素活性制御まで取り組むことはできなかったが、紫外光照射下では層状鉄チタン酸の利用により、層状チタン酸と比較して見かけの酵素活性が劇的に向上することが分かった。
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Research Products
(6 results)