2012 Fiscal Year Research-status Report
メソポーラスダイヤモンド球状粒子のHPLCカラム充填材への応用
Project/Area Number |
24750208
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
近藤 剛史 東京理科大学, 理工学部, 助教 (00385535)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ダイヤモンド / 多孔質材料 / カラム充填剤 |
Research Abstract |
ナノダイヤモンド(ND)を原料とするメソポーラスダイヤモンド球状粒子(MDSP)に関して、NDの粒子径と作製されるMDSPの細孔特性の関係を調べた。1次粒子径がそれぞれ、24, 35, 52 nmのNDを原料として、数マイクロメートルサイズのMDSPを作製することができた。窒素吸着測定の結果、これらのMDSPのBET比表面積は、それぞれ、201, 152, 85 m2/gであり、平均細孔径は4.6, 5.9, 9.3 nmであった。NDの粒子径が大きくなると、得られるMDSPの比表面積が小さくなったことから、MDSPの比表面積が原料となるNDのそれを反映していると考えられる。また、見積もられた平均細孔径は、ND1次粒子間の空隙の大きさに相当することから、MDSPは、NDの粒子間空隙が細孔として機能する多孔質材料であるといえる。一般に、細孔径分布は多孔質材料の特性に大きく関わるパラメータであるため、それを制御できることは、カラム充填剤のみならず、触媒をはじめとする様々な目的に利用できる汎用多孔質材料としてのMDSPの有用性を示すものである。 次に、製造法の異なる2種のNDに関して、作製したMDSPの非ダイヤモンド不純物成分の評価を行った。爆轟法により製造されたND(粒子径5 nm)と高温高圧法により製造されたND(粒子径50 nm)で比較した場合、X線光電子分光法(XPS)のC 1sスペクトルの波形解析から見積もられた炭素原子のsp2/sp3比は、それぞれ0.06および0.03となった。MDSPをカラム充填剤として利用した場合、グラファイト性不純物は、芳香環を有する化合物を吸着し、保持時間が極端に大きくなる原因となるため、この観点では、高温高圧法により作製したNDの利用が望ましいことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、MDSPの作製条件と細孔構造の関係を調べる手段として、NDの1次粒子径の他に、ND/バインダー比に関しても実験を行う予定であった。しかし、ND1次粒子径とMDSPの細孔構造との間で比較的良好な相関関係が見られたため、こちらを中心に研究を進め、当初の目的を達成することができた。また、NDの種類と残留グラファイト量との関係についても明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、MDSPの表面化学修飾法の確立とカラム充填剤への応用に関して研究を進める。これまでの予備的な知見では、光化学法を用いた1-オクタデセンによるMDSPの表面修飾は可能であることがわかっている。しかし、表面修飾量やその分布に関して詳しく調べる必要がある。一方、アリルジアゾニウム塩法による表面修飾に関しては、前駆体となる化合物の合成が容易ではないため、より入手が容易な試薬や条件による表面修飾法に切り替えて研究を推進する予定である。カラム充填剤への応用に関しては、資生堂医理化テクノロジー株式会社の協力により実験を推進する。これまでの予備検討では、MDSPの粒子径分布が広いため、カラム充填が比較的困難であることがわかっている。そこで、まずはMDSPの粒子径制御を、スプレードライ条件の見直しおよびMDSP作製後の分級操作の工夫により試みていく。カラム充填を達成した後は、従来材料と比較した分離特性・安定性・耐久性試験を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
おおむね順調に計画を進めることができ、最終的にわずかに次年度に使用する研究費を生じた。当該研究費に関しては、翌年度の消耗品費として使用する計画である。
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