2014 Fiscal Year Annual Research Report
多糖鎖高次構造を活かした光応答性セルロースナノ構造体の構築
Project/Area Number |
24750218
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
榊原 圭太 京都大学, 化学研究所, 助教 (20618649)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ナノ構造 / 光応答性 / セルロース / ポリマーブラシ / 液晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
ボトムアッププロセスを用いて高位置選択的に光応答性官能基を導入したセルロース誘導体からナノロッドを創製するという世界初の試みに成功した。原子間力顕微鏡による詳細な観察により、幅と長さが揃った、単分子厚さのナノロッド構造の形成を確認した。得られた光応答性ナノロッドの光吸収スペクトルが天然の光捕集システムと極めて類似していることをつきとめ、セルロース鎖に捕捉された光応答性官能基がある種の規則的配列を促進することを示した。これは、微小角入射X線散乱の結果からも強く支持された。これら成果により、自己組織化により多糖類からナノ構造体を得る手法を提案することができた。一方、表面開始リビングラジカル重合によるセルロースナノ材料表面の濃厚ポリマーブラシ化の基礎を固め、その階層化と光学物性の発現に関する研究を発展させることができた。具体的には、濃厚ブラシ付与セルロースナノウィスカーが有機溶媒ないしは重合性モノマー中でネマチック液晶を発現し、モノマーを重合させることで複合材料を得ることに成功した。 特に最終年度では、セルロースナノ結晶(Cellulose NanoCrystal; CNC)表面に濃厚ポリマーブラシ構造を導入、規則配列化、樹脂固定化により、高強度かつ液晶性を有する強化樹脂複合材料の開発に取り組んだ。表面開始原子移動ラジカル重合によりグラフト密度及び分子量の制御されたポリスチレンブラシ付与CNCを合成し、モノマー中でリオトロピック液晶を形成後、ラジカル重合に供することで液晶構造を保持した複合材料の作製に成功した。この際、ブラシの分子量(=ロッドのアスペクト比)が鍵であり、分子量約1万(伸び切り鎖にして約25 nm厚さ)以下が特に液晶発現に効果的と判明した。この液晶構造はブラシの反発力のみを駆動力とするため、既報の硫酸加水分解CNCとは異なる挙動が見出された。
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Research Products
(7 results)