2013 Fiscal Year Annual Research Report
ポリマーネットワーク間に結合点を有する相互侵入高分子網目ポリイミド膜の開発
Project/Area Number |
24750221
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西原 正通 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 助教 (40415972)
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Keywords | 高分子電解質膜 / 燃料電池 / 電荷移動錯体 / 超分子構造 / semi-IPN / 架橋 |
Research Abstract |
本研究では、電子供与性(ドナー)分子と電子受容性(アクセプター)ポリイミドにより形成される電荷移動(CT)錯体超分子構造体を、その構造を保持したままドナー分子を重合させることで、これまで報告されたことのないアプローチで、セミ相互侵入高分子網目(semi-IPN)構造の構築を試みた。 CT錯体がどのような構造を膜内で形成しているのかを確認するために構造計算を行った。スルホン化ポリイミド(SPI)、ドナー分子として2,6-および1,5-ジヒドロキシナフタレン(2,6-DHN、1,5-DHN)を用いて評価したところ、CT錯体だけでなく、SPIとDHN間に分子間水素結合も形成しており、官能基のわずかな違いで得られる錯体構造が異なるという結果をもたらした。これらの結果から、ドナー分子間の架橋にはアルキル鎖長で5から6の架橋剤を用いると最適であると推測された。架橋反応はヘキサメチレンジイソシアネート(HD)、アジポイルクロリド(AC)を用いた。反応前後で膜の色が明らかに変化し、UVからも架橋前後でCT吸収が長波長側にシフトしている事が分かった。これは反応により錯体構造に変化が起こった事を示唆している。IRによる架橋確認を行ったところ、HD、AC共に反応生成物のピークを確認する事ができなかった。これは膜内に含まれる反応生成物の割合が低いこと、さらに膜表面に露出している生成物が少ないためと考えられる。プロトン伝導性を評価したところ、ACでは架橋前とほぼ同等の値を示した。これに対してHDでは大幅に低下した。これはSPIのスルホン酸とHDのイソシアネートが反応したためと考えられる。 ドナー分子の架橋反応によりその膜物性を変える事が確認され、semi-IPNの作製法を提案できると考えている。現在、ビニル基を有するドナー分子も作製し、ラジカル重合によるSemi-IPNの作製を試みている。
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