2014 Fiscal Year Research-status Report
フルオロアルキル側鎖を有する液晶性ABA型ブロック共重合体が生み出すナノ周期構造
Project/Area Number |
24750223
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石毛 亮平 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (20625264)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 主鎖型液晶性ポリエステル / 側鎖型液晶性高分子 / トリブロック共重合体 / パーフルオロオクチル基 / 小角X線散乱 / 広角X線回折 / ナノ周期構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
H25年度に引き続き,主鎖型液晶性ポリエステルであるBB-5(3-Me)と側鎖型液晶性高分子であるPFA-C8からなる液晶性ABA型トリブロック共重合体PFA-C8-b-BB-(5-Me)-b-PFA-C8(PFA-C8の重量分率wが各々0.16,0.38,0.48,0.60,0.78)の形成するナノメートルスケールの偏析構造の解析を実施した.本年度は主に,昨年度までに実施した放射光X線散乱実験データの詳細な解析に注力した.特に,ブロック共重合体試料溶液からスピンコート法によりシリコン基板上に製膜した薄膜において,膜内における偏析構造の配向様式がwに依存して変化することを見出した.wが0.5以下の場合,ブロック共重合体が形成する層状偏析構造は層が基板に平行に配向するのに対し,wが0.7以上の場合,層が基板に垂直に配向することを見出した.これは,wの増加に伴いPFA-C8の側鎖フルオロアルキル基の配向(空気界面に対して側鎖が垂直に配向する)に誘起されて,偏析構造が配向するためと考えられる. また,バルク試料については偏析構造のグレインサイズの影響が無視できないほど大きいことが判明したため,解析法の見直しを図った.具体的には,層間隔は統計的にばらつくが層構造自体は平滑性を維持するパラクリスタルモデル,および層界面の波打ちを考慮したCailléのモデルに基づく強度解析を実施した(いずれも積層数を有限とすることでグレインサイズを考慮した).その結果,wが0.5以下ではパラクリスタルモデルにより実測強度が良く再現され,一方,wが0.7以上では波打ちを考慮したCailléのモデルが実測強度を良く再現することを見出した.wが0.7以上の試料では,BB-5(3-Me)の等方相転移,すなわちAブロックとBブロックが共に等方相となる温度を境界として層状構造から柱状構造への形態転移が起こることが明らかとなっている.これらの結果から,界面の波打ちの増大が形態転移の鍵であると推察される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度にSPring-8における放射光小角X線散乱(SAXS)実験のビームタイムを充分に確保することができたため,温度可変SAXS実験,スピンコート薄膜の斜入射SAXS等で良好なデータを取得することが出来た.本年度は,これらのデータに基づき,より詳細な構造解析を実施することが出来た.
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Strategy for Future Research Activity |
液晶相転移に伴い偏析構造の形態変化が見出された系について,透過型電子顕微鏡観察により形態転移の確証を得る.これとX線散乱実験の詳細な解析データに基づく考察と併せて,査読付き雑誌への論文投稿をする.
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Causes of Carryover |
H26年度の物品費はほぼ当初の想定通りであったが,電子顕微鏡の依頼観察が間に合わなかったため,約300,000円の繰越金が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度は,依頼分析費としてこの繰越金を充てる予定である.
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Research Products
(2 results)