2013 Fiscal Year Annual Research Report
導電フィラー分散ポリマーコンポジットにおける導体-絶縁体相転移現象の解明と制御
Project/Area Number |
24750226
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
河野 昭彦 金沢工業大学, 工学部, 講師 (40597689)
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Keywords | 導電フィラー分散ポリマーコンポジット / PTC特性 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度の成果を踏まえ、①PTC特性のメカニズム解析、②PTC特性の制御法の検討の2つの項目を実施し、以下の成果を得た。 ①PTC特性のメカニズム解析について 熱搖動トンネル伝導理論を導電フィラー分散ポリマーコンポジットの導電メカニズムの解析に適用し、抵抗率の理論計算を実施した。計算の結果、導電フィラー間のギャップがナノメータオーダで増大すると、抵抗率は指数関数的に増大することが分かった。これより、ポリマーの体積膨張により導電フィラー間のギャップが僅かに増加するだけで、PTC特性が発現し得ると結論した。また、導電フィラー充填率を固定し、溶融状態のコンポジットに熱処理を施した場合、ある特定の熱処理温度にて抵抗率が減少することが判明した。抵抗率の低下はパーコレーション閾値近傍の導電フィラー充填率において顕著であり、抵抗率は1E13Ωcmオーダから1E6Ωcmオーダへと7ケタの減少が見られた。種々の解析を実施した結果、抵抗率が最少を示す熱処理温度ではポリマーの結晶化度が最大を示すことが判明した。これより、コンポジットにおける導電パスの形成には、ポリマーの結晶化度が強く影響していることを示した。 ②PTC特性の制御法の検討 PTC特性の制御、特に同一ポリマー、同一フィラーからなるコンポジットの絶縁体相転移温度(PTC特性発現温度)の制御に取り組んだ。ポリビニリデンフルオライド/Ni微粒子コンポジットにおいて、Ni充填率を22.5~35vol.%の範囲で制御することにより、室温抵抗率を劣化させることなく(約10Ωcm一定)、絶縁体相転移温度を約90~140℃の範囲で変え得ることを見出した。また、前年度に詳しく検討した融点以下でのPTC特性発現現象の知見を活用することにより、電子線やガンマ線照射等の特殊な処理を何らすることなく、PTC特性の繰り返し性に優れるコンポジットを作製し得ることを見出した。
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Research Products
(3 results)