2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24760003
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
窪田 崇秀 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (00580341)
|
Keywords | Mn合金 / 垂直磁化薄膜 |
Research Abstract |
本申請課題では、高磁気異方性垂直磁化薄膜を半導体中へのスピン偏極キャリア注入源として応用するために、Si単結晶基板を用いたL1_0規則相のMnGaのエピタキシャル薄膜の作製に取り組んだ。本年度はまず、昨年度より取り組んでいる、垂直磁化スピン偏極源のスピン注入効率増大のための研究を継続した。MnGa/Fe(またはCo)/MgO/CoFeBからなるトンネル接合(MTJ)に於いて、Fe、Co挿入層の膜厚の最適化を行った。その結果、いずれの挿入材料の場合も膜厚1.5 nmの場合にトンネル磁気抵抗比(TMR比;トンネルスピン分極率におおよそ比例する)が最大となることが明らかになった。また、Fe挿入層を用いたMTJのトンネル伝導特性を詳細に調べ、一つの要因として、MgO障壁層界面における非弾性散乱の低減がTMR比増大に寄与していることを示唆する結果を得ることに成功した。 また、並行して昨年度開発したMn-Ga-Co合金薄膜を用いたMTJを作製し、トンネル磁気抵抗比の評価を行い、垂直磁化を示す組成領域では、理論予測とは異なり、Co添加によってMn-Gaを電極としたMTJと比較してTMR比が小さくなることが明らかになった。材料依存性については、今後詳細な追加検討が必要である。 一方、Si(100)単結晶基板上へのMnGa薄膜成膜条件の最適化を行った。下地層にMg/MgO層を用い、Mn-Ga成膜時の基板温度を室温から500℃までの間で変化させ、X線回折法を用いて結晶構造を調査した。その結果、基板温度300℃の場合に、L1_0規則相に起因する(001)回折線が確認された。 一連の実験を通し、半導体へのスピン注入に利用可能な垂直磁気異方性薄膜の高スピン分極化のための指針を得るとともに、Si単結晶基板上にL1_0規則相を有するMn-Ga薄膜を作製することに成功した。
|