2012 Fiscal Year Research-status Report
高酸素イオン伝導を示す固体電解質の開発を目的とした人工超格子作製
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24760009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
菅 大介 京都大学, 化学研究所, 助教 (40378881)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 酸化物人工超構造 / ブラウンミレライト / 酸素イオン伝導 |
Research Abstract |
酸素欠損型ペロブスカイトであるブラウンミレライト構造を有するSrFeO2.5エピタキシャル薄膜の薄膜成長過程を反射高速電子回折(RHEED)によって詳細に評価した。明瞭なRHHED振動は薄膜成長開始から3ユニットセル堆積後から観察されることが明らかになった。走査型電子線顕微鏡観察からこのRHHED振動はブラウンミレライト構造の酸素欠損の配列の形成に関連していることが明らかになった。作製した薄膜の高温電気抵抗測定から、ブラウンミレライト構造自体は酸素欠損の規則配列のために異方的であるのに対して、電気抵抗の温度依存性ならびにそこから求められる活性化エネルギーには異方性がなく等方的であることが明らかになった。 またGdScO3に代表される酸素八面体回転を有する斜方晶酸化物基板について表面超平坦化のための化学的処理方法を確立した。さらにその基板上に八面体回転角度のミスマッチを有するエピタキシャル界面を作製し、走査型透過電子顕微鏡を用いた環状明視野結像法によって酸素原子位置の評価を行ったところ回転角度のミスマッチは数原子層の厚で緩和されることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標としている人工超格子をはじめとする人工エピタキシャル超構造の作製に関して基礎となる作製条件の最適化や薄膜成長ダイナミクスに関する知見は得られたと考えている。また高品質な超構造を実現する上で、必要不可欠な基板の超平坦化技術も確立しており、今後の研究展開がおおいに期待できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度で得られた知見を基礎として、人工超格子や異種化合物から構成される人工エピタキシャル超構造の実現を目指す。作製した超構造に対してX線回折や走査型電子顕微鏡を用いて構造特性の評価を行う。また電気特性に関しては主に室温より高温領域での振舞いに着目することで、電子伝導だけでなく、酸素イオン伝導に関する知見についても獲得を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は主に現在の研究環境の維持及び、成果発表のために本研究費を使用する予定である。おもに薄膜作製のための基板及び材料購入費や試料作製装置に関わる消耗品購入費、及び学会及び研究会参加のための交通費として使用を考えている。
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