2013 Fiscal Year Annual Research Report
原料溶液の高純度化と結晶配向制御による酸化物超伝導膜の電流輸送特性の高度化
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24760013
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
寺西 亮 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70415941)
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Keywords | 溶液プロセス / 薄膜材料 / 酸化物超伝導体 |
Research Abstract |
最終年度は、原料溶液にトリフルオロ酢酸塩(TFA)を用いた有機金属堆積法(MOD法)にてYBa2Cu3O7-y(YBCO)超伝導膜を作製する際の膜成長時の制御因子について考察を行った。透過型電子顕微鏡を用いて膜の結晶化過程を観察した結果、現状では通電特性を低下させるa軸配向粒がc軸粒と混在しており、高い通電特性を得るには熱処理時に導入する水蒸気の高濃度化や熱処理時のガス流速を増大させる手法などによりc軸粒の結晶成長速度を高めることが有効であることが示された。 研究期間全体の成果を以下にまとめる。本法では、これまで原料溶液を作製する際に水分や反応副生成物が不純物として混入し、高特性の薄膜を得る妨げとなる問題があった。これに対し、本研究では不純物である水分に焦点を絞り、含有濃度低減による原料の高純度化を目的に原料精製過程の減圧度が水分濃度、薄膜試料組織及び通電特性に及ぼす影響を調査した。その結果、膜の結晶配向性や通電特性は減圧精製プロセスに大きく依存することが明らかとなり、減圧度と時間の制御によて効果的に精製を行うと水分濃度は1.9wt%にまで低減でき、薄膜試料のc軸結晶配向性が向上して通電特性が高性能化することができた。具体的には、精製第一段階として、メタノール溶媒の35℃での蒸気圧200hPaより低圧にて減圧することによりメタノールと共に水分を共沸により除去した後、第二段階として水の蒸気圧20hPa以下まで段階的に減圧精製することにより、水分を効果的に排除することが分かった。また、得られる薄膜は主にc軸結晶配向し品質は高いが、電子顕微鏡により微構造解析を行うと通電特性を低下させるa軸配向粒が混在していることがわかった。これらa軸粒は、熱処理時に導入する水蒸気の高濃度化や熱処理時のガス流速を増大させてc軸粒の結晶成長速度を高めることによって低減できることが分かった。
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Research Products
(5 results)