2013 Fiscal Year Annual Research Report
積層結合型磁気渦を用いたスピントルク発振素子の高性能化
Project/Area Number |
24760014
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
家形 諭 福岡工業大学, 工学部, 助教 (00585929)
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Keywords | 磁気渦 / 発振素子 / 熱安定性 |
Research Abstract |
スピントルクオシレータは低消費電力で小型、かつGHz超の高い周波数で発振を実現するため、近年注目を集めている新規磁性デバイスの一つである。その実現には熱擾乱耐性およびQ値のさらなる向上が必要である。本研究では磁気渦構造に申請者が有する層間交換結合技術を応用し、微細化においても最高レベルの熱安定性および高性能なマイクロ波発振特性を有する微小スピンオシレータ素子を開発することを目的とする。 磁気渦構造は一般に熱安定性が高いと考えられているが、その熱安定性を評価する方法は確立されていない。磁性体の熱安定性は磁気モーメントがどれだけ反転しやすいのかで評価される。従来の手法は主に2つ。1つは磁気モーメントが失われる時間を測定する方法。もう一つは反転する確率を測定する方法である。いずれの方法も磁気モーメントの反転を観測する必要があるが、磁気渦構造の場合、磁気渦コアの磁気モーメントの向きを判定するのは簡単ではないため、磁気渦構造の熱安定性を評価する手法として用いることはできない。そこで本研究では磁気渦コアの共鳴周波数からポテンシャル構造を決定する手法を提案し、その原理実証を行った。さらに実際に磁気渦発振素子を作製し、磁気渦の発振によるスペクトルの観測にも成功した。得られたスペクトルは従来のスピントルクオシレータのものと比較してQ値が高いことを実験的に示した。本研究では共鳴周波数を得るために従来のスピントルクダイオードとは異なる、ネットワーク・アナライザを用いた新規測定手法を開発しており、これにより高い感度を実現している。本手法を用いれば、円形、三角形などの磁気渦素子に限らず、どのような形状、どのような構造の磁気渦素子においても、そのポテンシャル形状を読み取ることが可能であり、今後予定している層間交換結合膜においても十分応用できるものである。
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Research Products
(1 results)