2013 Fiscal Year Research-status Report
アルミニウム砒素中の窒素不純物準位を用いた可視域量子光源に関する研究
Project/Area Number |
24760015
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
定 昌史 独立行政法人理化学研究所, 平山量子光素子研究室, 研究員 (20400020)
|
Keywords | AlGaAs / 等電子中心 / 電子状態 / 単一光子発生 |
Research Abstract |
本研究ではGaAs基板と整合した可視域量子光源の実現に向けて、AlAs中の窒素不純物準位を用いた可視域の単一光子発生の実証を目的とする。 昨年度達成したAlAs中の窒素不純物準位からの単一光子発生の実験結果を発展させるべく、本年度は①窒素不純物電子状態の理論解析と、②AlGaAs混晶中の窒素不純物準位の発光特性について検討を行った。 まず、①窒素不純物の電子状態について、強束縛近似を用いた原子レベルの電子状態計算を行った。その結果、AlAs中の単一N不純物は伝導帯中に共鳴準位を形成することを見出した。これは、バンド構造の近いGaP中のN不純物が束縛準位を形成することと対照的であり、その理由は伝導帯端のエネルギー位置の違いによるものと考えられる。いっぽう、NNペア不純物では[110]および[220]ペアのみが束縛準位を形成することを見出した。これと蛍光測定の結果とを比較することにより、2.165 eV発光が[110]ペア、2.191 eV発光が[220]ペア由来であると結論付けた。 また、②AlGaAs中の窒素不純物についてAl組成を系統的に変化した試料を作製し発光特性を測定した。AlGaAs中の窒素不純物からの発光の特徴として、AlAsやGaAsに比べて発光線幅が大きく広がることがわかった。顕微蛍光測定の結果から、Ga組成(またはAl組成)の増加に伴い個々の発光準位のエネルギーばらつきが大きくなることがその原因であることが分かった。すなわち、窒素不純物準位は周囲の環境に敏感であり、混晶によるポテンシャル揺らぎの影響が大きいと考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、窒素不純物の電子状態に理論的アプローチを行うとともに、AlGaAs中の窒素不純物準位に関する光学特性評価も達成している。
|
Strategy for Future Research Activity |
電子状態計算については3つ以上の窒素をふくむ窒素クラスター準位の計算へと発展を試みる。AlGaAs中の窒素不純物準位は混晶の影響を受けやすいことが判明したため、デジタル超格子構造の採用によってポテンシャル揺らぎを抑え、波長の揃った可視-近赤外の単一光子発生を狙う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度は成果発表の機会に適した会議がなかったため464,800円の未使用額が生じた。 Active Photonic Materials VI への参加費、旅費に使用する。
|
Research Products
(1 results)