2012 Fiscal Year Research-status Report
電位変調反射率測定による赤血球表面の電気的特性の解明
Project/Area Number |
24760019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
兵野 篤 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20554299)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 電位変調反射測定 / 赤血球 / 電気化学 / 表面化学 |
Research Abstract |
本研究では、電位変調反射測定法を用い、赤血球表面の電気的特性を明らかにすることを目的とする。赤血球中に大量に存在するヘモグロビンは、内部の鉄イオンの酸化還元により吸収スペクトルが変化するため、反射率測定の対象としてこれを利用する。赤血球を電極上に固定して交流電位をかけ、細胞表面を通した電子のやり取りを観測することでその電気的特性を解析する。電位変調反射測定法は、非破壊的、直接的で高感度な測定手法であり、生体分子などの界面での振る舞いを明らかにする手法としての応用が期待できる。 本年度は、電極表面に固定化した赤血球を電子顕微鏡で観察するための手法としてイオン液体による電子顕微鏡観察法を行い、この研究発表を各学会で行うとともに、研究の端緒として電極上にヘモグロビン分子を固定化する方法の模索と情報収集にあたった。 検討の結果、電極としてはガラス上に金蒸着薄膜を用い固定化試薬として逆末端にカルボン酸を有する1-ウンデンカン酸チオールを採用することとした。この分子のチオール基を金表面に配位させ、逆末端のカルボン酸基とヘモグロビン分子を化学的に結合させることでヘモグロビン分子を安定に固定化できると考えられ、この方法を採用することとした。望んだ形状の電極を得るために、ステンレス板を加工し金蒸着用のマスクとした。得られた電極を用いてCV測定を行った。しかしながら、金薄膜の強度が弱く実用に耐えないために強度を高める方法が必要であり現在情報収集中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
電極とヘモグロビン固定化方法の候補手法の選定に思いのほか時間がかかってしまった。また、電極の設計とステンレスマスクの作製などの作業が入り予定よりも遅れている。しかしながら、その過程で数名の専門家とのつながりができアドバイスをいただける状況となった。
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Strategy for Future Research Activity |
表面に配位したチオール分子にヘモグロビン分子を結合させ、CV、電位変調、インピーダンス測定を行う。測定用の電気化学セルはすでに準備できているので、予定通り研究を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の遅れにより試薬購入費が計画よりも安価となったため残額が発生した。平成25年度に今年度購入にいたらなかった試薬の購入費として使用予定である。
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