2012 Fiscal Year Research-status Report
グラフェンのモアレ様ポテンシャル分布を利用する有機半導体薄膜の制御
Project/Area Number |
24760023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山田 洋一 筑波大学, 数理物質系, 助教 (20435598)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | graphene / モアレ / 有機半導体 / 自己組織化 |
Research Abstract |
本研究では、金属基板上のgrapheneに現れるモアレ様ポテンシャル分布を用い、graphene上で有機半導体分子のパターニングを達成する。この準備として、本年度では、明瞭なモアレ構造を有することが知られているRu(0001)上のgrapheneをモデル系ととり走査トンネル顕微鏡及び超音速希ガス原子線にて評価を行った。さらにその上の原子状水素の吸着を調べ、分子のパターニングの可能性を評価した。 超音速希ガス原子線によりgrapheneの表面デバイ温度を評価した結果、Ru(0001)上のgrapheneはその他の基板上のgrapheneに比較してgraphene-基板間の結合が非常に強くなっており、表面は高いデバイ温度をしめす、いわゆる「硬い」状態になっていることが確認された。さらに、モアレ構造に起因して、graphene面内でデバイ温度の分布があることが確認された。これはgraphene上の分子の吸着に影響を及ぼす可能性があることがわかった。 さらに、表面の吸着水素を検出することが出来るHe原子線によりgraphene/Ru(0001)上の原子状水素吸着を評価した。He原子線回折スペクトルの形状変化から、水素吸着を検証した結果、モアレ構造をテンプレートとして水素がgraphene表面に吸着してゆく様子が示唆された。 これらの結果から本研究で狙う分子のパターニングの実現可能生が示唆されたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究は当初の研究計画とは異なる方法により遂行された。これは、本年度に行った研究から予想以上に興味深い結果が得られたためである。この結果は、本研究の目的であるgraphene上の分子のパターニングの可能性を強く示唆するものであり、本研究の達成目標枠内のである。このためまずはこの結果を論文にまとめる方向に研究計画の変更をおこなったものである。このことから、本研究の第一段階としての目標は達成できているといえる。本年度計画である、異なる対称性を有する基板上のgrapheneの評価は来年度以降に行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は細かい研究計画に変更が生じるものの、概ね研究計画書の達成目標に向かって順調に進展しているといえる。本年度では水素をモデルとして、モアレを利用した表面上でのパターニングの実現可能生が示唆されたので、来年度はより実用的な有機半導体分子のパターニングに取り組む。 用いる分子としては、ドナー分子、アクセプター分子のペアを予定している。本年度にこれらの分子の金属表面上での自己組織化の形態についての知見の蓄積がなされた。来年度においてはgrapheneのモアレ構造上でのこれらの分子の自己組織化を研究することで、モアレポテンシャル分布のテンプレート効果を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上述の研究計画の変更に伴い、研究費の使用計画を変更した。このため、本年度に予定していた購入物品の大半は来年度以降に繰り越される予定である。来年度においては、grapheneのモアレポテンシャル分布のテンプレート効果を調べるため、各種基板上にgrapheneを作製する。研究費は、このための装置系の構築や基板材料の購入に主に使用する。
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Research Products
(5 results)