2012 Fiscal Year Research-status Report
周波数変調AFMによるイオン液体―電極界面の単一イオン解析
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24760027
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
一井 崇 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30447908)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / 界面 / イオン液体 / 電気化学 |
Research Abstract |
イオン液体とは、アニオン・カチオンのみからなり、室温で液体状の塩のことである。難揮発性・難燃性・高い電気化学的安定性など、水や有機溶媒にはないすぐれた特徴を有することから、特に電気化学への応用が進められている。しかし、イオン液体を用いた電気化学には、未解明な点が多い。本申請課題では、イオン液体-電極界面の電気化学挙動の微視的解析により、その解決を図る。申請者はこれまで、固-液界面におけるイオン液体溶媒和について、その単一イオンレベル分析を可能とする周波数変調原子間力顕微鏡 (FM-AFM) を独自に開発してきた。平成24年度は、これまでの技術をベースとし、電気化学FM-AFMを新たに開発した。プローブには通常のSiカンチレバーではなく、音叉型水晶振動子を採用することで、高い粘性を有するイオン液体中においても、高分解能観察を可能にした。また、通常のAFMで用いられる試料走査方式ではなく、探針走査型方式を採用することで、自由度の高い試料(電気化学セル)の設計を可能にした。さらに、イオン液体の難揮発性に着目し、真空チャンバー内にAFMを設置することで、水の影響を除去するとともに、装置安定性を大幅に向上させた。本装置によりイオン液体1-butyl-1-methylpyrrolidinium tris(tentafluoroethyl)trifluorophosphate ([Py1,4]FAP)とAu(111)との界面を分析した結果、電極電位の変化に伴う界面でのイオンの組み替えを直接可視化することに成功し、本装置の有用性が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、電気化学FM-AFMの開発に成功した。固液界面構造の電気化学的挙動にイオン液体中の微量含有水が大きく影響することを見出し、新たに真空電気化学FM-AFMを開発することで、この問題を解決した。これにより、固液界面の電気化学的挙動の詳細な分析に成功し、開発した装置の有用性が確認された。したがって、研究は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおり、装置の開発に成功し、研究は順調に進展している。今年度は、開発した装置を駆使して、イオン液体-電極界面の電気化学的挙動をより詳細に調査するとともに、本装置をベースとした、新しい分析手法の開発にも取り組む
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画どおり、基本的な装置の開発は終了した。そこで、次年度予算は主にAFMプローブ材料、試薬 (イオン液体など) 、電極材料などの購入に充てる。また、新たな分析手法の開発にあたり、電子回路の作製が必要となるので、その部品購入にも充てる。その他、成果報告のための論文投稿料ならびに学会参加費にもあてる。
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