2012 Fiscal Year Research-status Report
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24760028
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
瀬波 大土 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40431770)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 量子物理学 / 局所誘電率 / 局所電気伝導率 / QED |
Research Abstract |
局所誘電率と局所電気伝導率による量子物性解析における基礎研究を行った。 局所誘電率に対する初年度の取り組みとしては、原子核の量子的時間発展を電子同様に場の理論的に取り扱う数値計算コードの開発を行った。高誘電率材料中の誘電率には原子核の振動からの寄与が重要であると知られているからである。 局所電気伝導率についての研究としては、電気伝導を担う電子そのものを量子状態として表現する計算コードの開発を進めた。平面波に基づく電流状態を摂動的に取り入れる方法と非平衡グリーン関数法に基づきつつ局所的な電流を表現する計算コードの2種類のコード開発を行った。摂動的に電流状態を取り込む計算コードのターゲットとしては、シリコンナノワイヤーモデルを取り上げた。シリコンナノワイヤー内部の複雑な電気伝導状態を初めて図示することに成功した。非平衡グリーン関数に基づく方法としては、ベンゼンジチオールとその水素置換体の内部での局所電流の様相を図示し、π電子とσ電子の電動への寄与の違いを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は局所誘電率・局所電気伝導率の2種類の局所物性量に基づく物性解析のように研究テーマを2つに分けて考えられる。 そのうち局所電気伝導率については、計画していた結果は全て出すことができ、出版もされた。また、予想を超えて非平衡グリーン関数法に基づく計算コード開発も行い、次年度に向けて計画以上の準備ができている。 局所誘電率の方は、計画外の部分が進み計画部分は遅れが生じた。計画していた高誘電率材料であるハフニウム酸化物のは酸素空孔の影響についての理論的研究は十分には進まなかった。それ以外の部分については論文投稿中の状態まで進展している。プログラムコードの開発は計画範囲を超えて進んでいて良好な状態である。25年度の予定であった、誘電率の周波数依存性の局所的解析についても進み始めている。 これらを総合的に勘案すると順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
局所誘電率の研究としては、高誘電率材料であるハフニウム酸化物の物性解析に重心を戻す。原子核の量子状態発展を場の理論に基づいて計算するコードの開発が進んでいるので、このコードを基にハフニウム酸化物中の原子核の運動について基礎研究を進める。 研究テーマとしては、結晶構造・アモルファス構造により誘電特性がどう異なるのかの物理の解明、ハフニウム酸化物へのランタン原子の添加の効果の研究、ゲート絶縁膜とチャネル材料のシリコンの界面での誘電特性の研究となる。 局所電気伝導率としては、計算コードの準備が整ったのでシリコンナノワイヤーのナノワイヤー半径依存性や表面処理の効果を研究する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の申請後に申請した民間の研究助成金を獲得したため、研究費が予想より潤沢となり、計画に変更を生じ、余裕が生じた。 限られた資金の範囲では計画していなかった参考書籍・文献の収集費とする予定である。
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Research Products
(25 results)