2013 Fiscal Year Research-status Report
安全かつ効果的な同種骨移植骨を可能にするプラズマ処理
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24760029
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
今出 真司 島根大学, 医学部, 助教 (10581077)
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Keywords | 大気圧下プラズマ表面処理 / 骨癒合能 |
Research Abstract |
平成24年度の結果から、骨釘に対する加圧滅菌は低温滅菌に比較し骨癒合能を約25%減じることがわかった。本年度は、滅菌操作で失われた骨癒合能を回復する手段して、プラズマ表面処理が有効か否か検証を行った。実験系は昨年度とほぼ同様の手法を採用し、骨釘を作製し加圧滅菌プラズマ処理群(AP群)および低温滅菌非プラズマ処理群(EN群)を設け、日本白色家兎大腿骨顆部へ移植した。屠殺時期を術後10日へ変更し固定強度を調査した。プラズマ処理では、無駄を省くため過去の研究から絞り込んだ条件を採用し、電力150W,carrier gas;He(流量4L /min),reactive gas;O2 (流量2.3/min),照射時間;30分および60分という条件で処理を行った。 結果、EN群の固定強度は325±62N(範囲:205-441N)に対し、AP群では30分処理で279±72N(範囲:180-360N),60分処理で312±75N(範囲:190-432N)であり、両群間に有意差は認めなった(p=0.12, p=0.40)。処理時間について、AP群の30分処理と60分処理の比較では有意差は認めない(p=0.38)ものの、60分処理で高い強度を示す傾向を認めた。 以上の結果から滅菌処理法の違いにより生じた癒合能の差が、プラズマ処理を加えることで是正させる可能性があることが示唆された。一方でサンプル間の個体差が大きく、結論づけるには時期尚早と考える。加えて処理時間について、より短時間での処理が有効である可能性があることが予備実験から判明した。条件を再検討しさらに検証を勧める必要があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
加圧滅菌骨に対するプラズマ処理の効果を検証し、その有効性を検証するところまでは予定通り遂行できた。 一方で、同種骨移植モデルの実験は先送りとした。その理由は、小動物実験の結果から絶対的な結論を導き出せないと判断したこと、およびプラズマ処理時間など設定条件について追加調査が必要になったためである。現状況下において、大動物事件を遂行するとこは意味がないと判断し、したがって当初の予定が一部未完遂となった。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の如く新たな課題が見つかった。当面は設定条件を模索するため、処理時間を変え生体外で表面処理効果を検証(X線光電子分光法)していく。可能ならば新たなガス種も検証する。再設定ののち、小動物実験を施行し、骨癒合に対するプラズマ表面処理の効果を検証していく予定である。確信のある効果が実証できれば、大動物実験へ移行し、臨床応用へ向けての計画を立案する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
プラズマ表面処理が骨癒合へ与える効果を検証しているが、骨への画黒時間に関する研究に時間を要したため、予定通り実験が進まず、したがって予算に残が生じた。 プラズマ処理工程における時間やガス種など再度検証しより有効な条件を模索する。家兎を用いた実験で生体内での効果を検証し、状況に応じ豚など大動物実験を予定する。本年度生じた残金はその費用に充てる。
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