2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24760034
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Research Institution | Kanagawa Academy of Science and Technology |
Principal Investigator |
中尾 祥一郎 公益財団法人神奈川科学技術アカデミー, 実用化実証事業 透明機能材料グループ, 研究員 (50450771)
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Keywords | 薄膜 / 透明導電膜 / PLD / スパッタ / 酸化スズ |
Research Abstract |
本研究は、非晶質SnOx薄膜をポストアニールによって、結晶化および酸化させ、透明導電性のSnO2薄膜を得る事を最大の目的とした。今年度は、これまであまり注目されていなかった非晶質SnOx薄膜の種々の特性を詳細に調べた。 最初に、ガラス基板上の前駆体薄膜の構造を評価した。その結果、得られた前駆体薄膜は本研究においては、Ta置換量、成膜酸素分圧によらず全て非晶質であった。またその表面は非晶質薄膜に特徴的な優れた平坦性(自乗平均粗さ < 1 nm)を示した。表面粗さは成膜酸素分圧の増加によって若干増加する傾向を示した。これは斜影効果によって説明出来る。 次いで、非晶質前駆体薄膜の輸送特性を調べた。成膜酸素分圧が低い場合は非常に高い抵抗率を示す絶縁膜であり、黄色の外観を示していた。これはp型伝導のSnOの形成がされ、n型キャリアの減少した為だと考えられる。成膜酸素分圧の上昇に伴って、薄膜は透明化し、n型伝導の透明導電膜が得られた。もっとも低い抵抗率は1.9 × 10-3 ohm*cmであった。 この時、キャリア濃度は1-2 × 1020 cm-3程度であり、移動度の最高値は27 cm2V-1s-1であった。この移動度は多結晶SnO2薄膜の移動度10-40 cm2V-1s-1と遜色なく、非晶質SnO2薄膜の透明導電膜としての高いポテンシャルを示している。 次に成膜酸素分圧を固定して、Ta置換量を変化させ、その輸送特性を調べた。非晶質薄膜においてはTa置換量の増加にもかかわらずキャリア濃度はほぼ一定、もしくは微減した。これは多結晶薄膜においてTa置換がキャリアドープして有効に働く事と非常に対照的である。この結果は非晶質SnO2薄膜においては酸素欠損のみがドナーとして働く事の証拠であると考えられている。
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