2014 Fiscal Year Annual Research Report
量子ドット-ナノ共振器結合系における二光子自然放出過程を活用した量子光源
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24760037
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
太田 泰友 東京大学, ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構, 特任准教授 (90624528)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 量子ドット / フォトニック結晶 / 二光子過程 / 非線形光学 / ナノレーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、量子ドット‐フォトニック結晶ナノ共振器結合系における新たな分光評価手法として、系から自由空間へ直接放射される自然放出光の測定に取り組んだ。この共振器散逸ではない測定チャネルを利用することで、共振器増強二光子自然放出のより詳細な物理が解明可能になると考えられる。具体的には、共振器設計、偏光およびフーリエ空間における光フィルタを利用することで、自然放出光のみを抽出しその精密スペクトラム測定の実現に成功した。また、開放量子系の理論を精査することで、光検出時における経路間干渉の効果も取り入れたスペクトル計算式を立式し、量子マスター方程式による数値計算を用いて測定スペクトラムを定量的に再現することに成功した。今後は、これらの実験・理論手法を発展させることで、共振器増強二光子自然放出を含む量子ドット‐フォトニック結晶ナノ共振器結合系における様々な物理現象の理解および応用に取り組むことを検討している。 研究機関全体を通しては、量子ドット‐フォトニック結晶ナノ共振器結合系における二光子相互作用の物理およびその応用に関する多くの成果を上げることができた。量子ドットから発生した光をナノ共振器内でそのまま非線形光学周波数変換する自己周波数変換を利用して、シアンから赤に渡るほぼ可視域全体をカバーするナノレーザーアレイの実現に成功した。これはまさに共振器内における物質と二光子との相互作用を制御した成果である。またその量子力学的性質を調べ、共振器光子の量子統計が非線形変換効率に影響していることを実験および理論的に示すことに成功した。これらの成果を応用することで、今後は様々な二光子の物理を応用した量子光源が開発可能になると期待できる。
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Research Products
(11 results)